資料2 報告事項 第3回検討会の議論について 1 第3回検討会の議題1 「障害を理由とする差別の禁止について」 【議論いただきたい事項】(前回提示内容) ○ 条例の骨子(案)に基づき,次のとおり規定することを想定しています。  何人も,障害を理由として,障害のない人と不当な差別的取扱いをすることにより,障害のある人の権利利益を侵害してはならない。 ○ これについて,御意見はありますか。 (補足説明) @ 障害を理由とする差別の禁止を義務づける範囲については,「何人も」としたいと考えております。なお,障害者差別解消法では,「行政機関等」と「事業者」については,差別禁止の規定があるものの,「国民」については,規定されていないことから,「拡大」となりますが,障害者基本法では,「何人も」と規定され,差別が禁止されています。 A 障害を理由とする差別の禁止について,「不当な差別的取扱い」の具体例を個々に記載するのではなく,包括的に規定したいと考えております。その上で,何が差別に当たるかについては,ガイドライン等を策定し,「不当な差別的取扱い」の具体的事例を示したいと考えております。  これは,何が差別に当たるかは,様々であり,これらを全て条例上網羅することは困難であるとともに,現在想定されていないような新たな差別が問題となった場合に,柔軟かつ機動的に条例改正を行うことが困難であること,また,何が差別に当たるかについては,ガイドライン等を策定し,それにより差別の具体的事例を広く県民に周知する方が,理解が得られやすいと考えるからです。 <主な御意見> 【条文の規定について】 ア 「何人も」という表現は一般県民に分かりにくいので,「全ての人」としてはどうか。 イ 条文の文言としては,「障害のある人に対し,障害を理由として,不当な差別的取扱いをすることにより」とした方が良いと思う。 ウ 人を差別することは,人の命を軽視するものであるという趣旨が読み取れるようにしていただきたい。 エ 差別的「取扱い」という言葉は,障害者を物のように扱っている印象を受けるので,差別的「行為」にしてはどうか。 オ 「不当な差別的取扱い」の後に,「これと同等の作為及び不作為」という文言を追加してはどうか。 カ 「不当な差別的取扱いを」の後に,「意識的又は無意識に行うこと」という文言を追加してはどうか。 キ 「権利利益」の侵害だけでなく,「尊厳」の侵害もしてはならないと規定してはどうか。 ク 条例には,生活場面ごとに分類した不当な差別的取扱いを具体的に規定した方が良い。 ケ 女性障害者特有の複合的差別についても規定すべきである。 コ 差別的取扱いの具体例は,ガイドラインに記載し,柔軟に対応することが良い。 サ 差別の事例を具体的に規定した方が,義務を課される事業者や県民にわかりやすいのではないか。 シ 差別の事例を具体的に規定した場合,例示されていない行為は許されると誤解を招くおそれがある。   【ガイドラインについて】 ガイドラインには,障害者全般及び障害別の差別事例と,その事例がどのような年齢層で起きたのかを記載していただきたい。   【その他】 ア 虐待の防止,特に通報義務について規定した方がよい。 イ 医療の提供場面における差別の禁止については,適正な医療とは何かを踏まえて考える必要があると思う。 2 第3回検討会の議題2 「合理的配慮の提供義務について」 【議論いただきたい事項】(前回提示内容) ○ 条例の骨子(案)に基づき,次のとおり規定することを想定しています。 @ 県は,その事務又は事業を行うに当たり,障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害のある人がその意思の表明を行うことが困難である場合には,その家族,介助者等が本人を補佐して行う意思の表明を含む。)があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう,当該障害のある人の性別,年齢及び障害の状態に応じて,社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 A 事業者は,その事業を行うに当たり,障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害のある人がその意思の表明を行うことが困難である場合には,その家族,介助者等が本人を補佐して行う意思の表明を含む。)があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう,当該障害のある人の性別,年齢及び障害の状態に応じて,社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 ○ これについて,御意見はありますか。 (補足説明) 合理的な配慮の提供を義務づける範囲について,障害のある人と相手方の関係は具体的な場面によって様々であり,それによって求める配慮の内容や程度も多種多様であることから,「事業者」に関しては努力義務とし,「県民」については特に規定しない方向で考えております。 <主な御意見> 【条文の規定について】 ア 「意思の表明」の後に,「又は意思の表明と同等と認められる発信その他の行為や現象」という文言も追加してはどうか。 イ 意思の表明が「あった場合」を,「確認された場合」あるいは「あると認められた場合」としてはどうか。 ウ 「当該障害のある人の性別」という文言を,「当該障害のある人の自認する性別」としてはどうか。 エ 「その実施に伴う負担が過重でないとき」という文言を,「その実施に伴う負担が過重である場合を除き」としてはどうか(合理的配慮を行うことが原則とする。)。 オ 条文の中に,「お互いに建設的な対話を行い」という文言を入れてはどうか。 【事業者の合理的配慮の提供義務について】 ア 事業者についても,合理的配慮の提供を義務付けて良いと思う。 イ 事業者の合理的配慮の提供は,努力義務とした方が相互理解・話し合いがスムーズに進むのではないかと思う。 ウ 事業者の中には,障害当事者からの要望に応じられなかった場合に,法的義務に反することになるのでは,という懸念を示す方もいる。 エ 事業者に対して,障害者から配慮の提供を求められた場合に,それに合わせてすぐに対応する,「配慮義務」を求めることとしてはどうか。 【県民の合理的配慮の提供義務について】 ア 合理的配慮の提供について,県民にも努力義務を課してよいと思う。 【その他】 ア 合理的配慮の提供は,提供する側と提供を受ける側の双方が何をどこまでできるのか話し合い,理解・受諾の上で成り立つものだと考える。 イ バリアフリーと合理的配慮の提供義務との違いについて,事業者が学ぶ機会があるとよい。 ウ 障害者・健常者双方に障害に関する知識や専門用語などについて学べる場があると,よりよい「建設的な対話」ができると思う。 エ あえて言えば,障害当事者がやることをやらずに配慮を求めることは「わがまま」である。 (資料2終わり)