第5回 障害のある人もない人も共生する社会づくり条例(仮称) 協議関連意見書 2019年12月23日 及川 智 1.第4回検討会に関する補足意見 ? 第4回検討会においても、先回(第3回検討会)議論の報告が出されたが、まとめ方が簡単すぎると感じる。各意見が出された経緯、理由も当然語られているので、今後なされる検討会報告書の作成においては、各回の議事要旨もふまえたまとめ作業を行うことを求める。 ? 資料2.「第4回検討会の議論において」の<主な意見>【相談を受ける窓口について】イ.は私の意見であったが、議事要旨の通り『県庁と保健福祉事務所の圏域』と、修正いただきたい。 2.情報保障 県が作成した条例に“盛り込むべき内容”は、具体性に欠け、これまでの方針・施策と何がどう変わるのかが全く分からない。情報は生活の基盤あり、音声情報、文字情報、点字、指点字、絵、動画、身振りと多種多様である。情報格差は即生活格差となる。条例においては、それらが見えるかたちでないと条例に規定する意義が半減する。 さらに、情報保障は、県のみが行うものではない。むしろ生活における情報は、事業者、市民との関わりに付随するものが圧倒的に多く、事業者による情報保障に関する記述がないことは一面的で不十分であり、県による事業者への情報提供に関する支援についても規定すべき。 3.意思疎通(コミュニケーション)支援 コミュニケーション支援は、情報を確保・取得、発信するための手段の選択、使用を担保することである。意思疎通のありようは千差万別であり、個人の状況によって、受信・発信の方法も変わってくる。それらの普及はまさに急務で、県が重点化を考える啓発事業の中核をなすものだと思う。 多くの条例が差別の分野別規定において「情報の提供」「意思表示の受領」を置いているのは、情報保障・コミュニケーションが双方向性を持つものであり、そのあり方によっては不当な差別的取扱いにあたり、合理的配慮の不提供にあたる場合があるからで、これら具体的な課題の解消がすなわち情報保障である、という表裏一体の関係にあるからだ。 実際の生活場面においては、視覚障害者が飲食店でメニューの読み上げを断られたり、聴覚障害者が手話や筆談を断られたり、付き添いと一緒に来ることを求められたりすると聞く。言語障害者の言葉を聞こうとしないなどは,私自身がよく経験する。これらはコミュニケーションが異なる者に関わろうとしない、関わることが難しい、という意識の課題でもある。 したがって、手段の普及にあたっては,実際の事業者や業界団体などに対して、当事者等を講師とした研修を実施するなど、具体的な施策を展開してほしい。 また、現在、情報通信技術の発展はめざましく、そうした技術を積極的に導入することでコミュニケーション環境は一定程度向上する。公的機関及び民間事業者において導入を推進することも重要であると考える。 さらに、支援者の養成が掲げられているが、養成した意思疎通支援者が十分に活動や職務に従事できるようにするための保障も必須である。 4.その他  その他、これまで議論されてこなかった事項についての意見を列記する ?名称について 条例の名称として「宮城県障害者差別禁止条例」を提案する。 いずれにしても「差別」の語を入れるべきである。 ?差別の未然防止について 差別をなくすために具体的に何をするのかを「基本的な施策」として明記する。県としての事業と県から事業者及び県民への施策について明記する ?助成事業 不当な差別的取扱いの防止、合理的配慮の提供を促進するための助成事業を設けるべきである。 ?報告書のまとめにあたって 予定では、次回の検討会で報告書案を検討し終了となっているが、検討した報告書案について、再度検討会における検討が不可欠であるため、追加の検討会開催を提案・要請する。 1