第6回 障害のある人もない人も共生する社会づくり条例(仮称) 協議関連意見書 2020年1月23日 及川 智 1.第5回検討会に関する補足意見 情報保障についての事務局提案において、特に「情報発信等」の記述について具体性に欠けると意見を述べ、その意義について確認したところであるが、具体性に欠けるのは、意思疎通を可能にするために何をするかが明確ではないからだ。たしかに情報に取得方法、意思表示の方法は千差万別で、個別の対応が求められる場合が多いために具体的な記述を避けたと思われるが、手話や文字情報、点字や音声通訳、触手話、平易な文字表示など一定有効な手段を記述するなど、水準が分かるようにする必要がある。  また、事務局案には「〜障害の特性に配慮して」や「〜に配慮した形態」とあるが、県が行う情報の提供は義務とも言えるもので、配慮ということはそぐわない。次に掲示する三重県条例のように、明確な記述とするよう求める。 三重県条例 (情報の利用におけるバリアフリー化) 第二十八条 県は、障がい者が県政に関する情報を円滑に取得し、及び県に対してその意思を表示することができるよう、点字、要約筆記その他の意思疎通のための手段による情報の発信等に努めるものとする。 2 県は、県政に関する情報をインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて提供する場合において、障がい者が当該情報を支障なく利用することができるよう、平易な表現を用いることその他の措置を講ずるものとする。 3 県は、障がい者に対し、点字、要約筆記その他の意思疎通のための手段による情報の提供等が切れ目なく行われるようにするため、障がい者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。 4 手話による情報の発信等及び手話通訳を行う人材の育成等については、三重県手話言語条例(平成二十八年三重県条例第五十号)の定めるところによる。 2.条例検討会において議論がなされなかった事項について  これまで5回にわたって検討会が開催され、意見を交わしてきた。概ね条約の骨格についての意見は出されたものと感じているが、一方意見交換が不可欠にも関わらずテーマにもされなかったのが、差別解消にかかる基本的な施策、事業についてである。この条例制定の方針が村井知事より示されてから、知事自身も「実効性を持った条例にしたい」といった趣旨の発言をされている。検討会事務局(県当局)としても啓発事業等に力点を置きたいとしながらも骨子案にも施策についての項目はない。 検討会において議論すべき事項として、改めて「障害を理由とする差別を解消するための施策等」を提起し、検討会の追加開催を求める。 【提起する内容】 「基本的な施策」として、差別を未然に防ぐための方針等を明記する。 ・啓発、交流促進事業 ・関係機関(障害者団体・支援団体等)との連携強化(主催・共催事業の実施等を含む) ・障害者の政策形成過程への参画推進 ・好例等に対する顕彰 ・施策、事業の計画的な実施 3.今後の条例審議に関連して 予定では本日(2020年1月23日)でこの条例検討会は終了し、3月31日をもって構成員は解任されることとなるが、この審議をもとにした条例に基づくガイドラインが策定されるまで任期の更新・延長を求める。 その上で、条例素案が審議される宮城県障害者施策推進協議会への検討会構成員代表の参加を求める。