第3章 推進のための具体的方策2/地域
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第3章 推進のための具体的方策
第1節 家庭,地域における具体的方策
第2項 地域における読書活動の推進方策
1.現状・課題
今日における情報化社会の著しい進展は,私たちを取巻くメディア環境を大きく変化させました。とりわけ,インターネットや携帯電話といった通信手段の普及によって,多様な情報を手軽に入手できる利便性と危険性の両面をもたらした一方で,メールやブログといった情報の発信・受信は新しいコミュニケーションの在り方を創出しました。また,ライフスタイルの多様化や地域社会の変容によって,親や大人から子どもへ伝承されてきた伝統文化や地域コミュニティの結束も希薄になりつつあります。
子どもの読書活動を推進するためには,身近な読書環境を整備していくことが大切です。県内では家庭文庫・地域文庫など約150の民間団体やボランティアが各地域で活動し,子どもの読書活動の推進に携わっています。中には20年,30年と息の長い活動を行っている文庫もあり,本の貸出や読み聞かせなどの本来の活動に加え,地域に根ざした行事や交流など多彩な活動も展開しています。(⇒事例集1~5参照)
これら家庭文庫・地域文庫や読み聞かせボランティア団体の地道な活動は,地域における子どもの読書活動を推進する上で,今後もその役割の重要性が増しています。
このため,市町村ではこれらの民間団体の自主性を尊重しつつ,家庭,地域,学校が相互に連携し合いながら,地域社会全体で子どもの読書活動を推進する必要があります。
2.推進の担い手とその役割
(1)地域の役割
- イ 家庭文庫・地域文庫は,子どもが本に親しむ様々な機会を提供するなど,子どもの自主的な読書活動に大きく寄与しています。そうした文庫活動をより一層充実させることが望まれます。(⇒事例集2,4,5参照)
- ロ 読み聞かせボランティア団体においては,公立図書館や児童館,学校,放課後児童クラブ等と連携しながら,あらゆる機会を通じて読み聞かせやおはなし会を開催することが大切です。(⇒事例集1,2,5参照)
- ハ 民間諸団体が活動を継続し,新たな読書事業を展開するためにも,地域を拠点とした団体間のネットワークの構築が求められています。(⇒事例集1,26参照)
- ニ 市町村においては,広報誌やホームページ等を通じて,地域の読書活動ボランティア団体や図書資料に関する新しい話題を積極的に情報発信し,周知していくことが大切です。
(2)行政の取組
イ 宮城県の取組
- (イ)家庭文庫・地域文庫や読み聞かせボランティアの活動を支援するため,読書に関する講演会や読み聞かせボランティアの養成講座を継続して実施します。また,市町村においても同様の取組が望まれます。(⇒事例集28,31,36参照)
- (ロ)県では,民間団体やボランティアの活動をホームページや事例集で紹介し,推進体制整備の一助となるよう情報提供を行うとともに,県内の子どもの読書活動に関する情報を更新し,県民に提供するよう努めます。
- (ハ)県図書館においては,読書活動に関する相談に応じられる体制づくりにより一層努めます。
- また,子ども読書活動推進の場については,関係団体と調整しながら確保に努めます。
- (ニ)市町村に設置されている児童館や保健センターなどの施設,放課後児童クラブや母親クラブ,その他の民間団体等に対して,子どもの読書活動の推進に関する情報提供を行い,普及・啓発に努めます。
- (ホ)市町村は各地域の実情を踏まえて,当該市町村の子ども読書活動推進計画を策定し,地域全体で読書環境の整備をする必要があります。県では,子どもの読書活動の担い手を育成するなど,その支援に努めます。
ロ 市町村に期待される取組
- (イ)民間団体やボランティアとの連携を進め,地域における子どもの読書活動を推進するネットワークづくりが必要です。(⇒事例集26,28,31参照)
- (ロ)児童館を利用する子どもを対象に,母親クラブ,ボランティアサークルなどの協力の下,読み聞かせやおはなし会などを行うとともに,児童館内の図書資料の整備が望まれます。(⇒事例集33,36参照)
- (ハ)「市町村子ども読書活動推進計画」の未策定市町村においては,早期の計画策定が望まれます。
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