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学校においては,従来から国語などの各教科における学習活動を通じて,読書活動が行われてきました。学校は児童生徒の読書習慣の形成に重要な役割を担っていることに変わりはありません。平成19年に改正された学校教育法においても,義務教育として行われる普通教育の目標の一つとして「読書に親しませ,生活に必要な国語を正しく理解し,使用する基礎的な能力を養うこと」が掲げられています。全校一斉読書や総合的な学習の時間(※14)での調べ学習,ロングホームルームなど,年間を通じた教育活動の中での読書活動や,学習情報センターとしての図書館での計画的・組織的な学習が行われています。(⇒事例集22参照)
さらに,児童生徒の豊かな読書経験の機会を充実させていくために,児童生徒のニーズにこたえる魅力的な学校図書館づくりが必要です。その意味で,図書資料の整備・充実は喫緊の課題となっています。平成19年度から5か年を期間とする新たな「学校図書館図書整備計画」が策定され,公立義務教育諸学校における学校図書館資料の計画的な整備と,学校図書館図書標準の早期達成が要請されています。
県内の学校図書館における平均蔵書冊数は,小学校や高等学校では全国平均をわずかに上回っているものの,中学校では下回っており,読書活動推進の重要な場として一層の図書資料の充実が求められています。
また,学校図書館と民間団体やボランティアが連携している割合は,全国平均を下回っており,今後一層の連携・協力が望まれるとともに,地域住民に対する文化施設としての学校図書館の開放ということも時代のニーズとなっています。
司書教諭については,学校図書館資料の選択・収集・提供を行うなど,学校図書館の運営・活用について中心的な役割を担っています。平成15年度から,学校図書館法により,学級規模が12学級以上の学校に学校図書館の専門的職務を担う司書教諭を必ず配置しなければならないと定められています。引き続き,関係機関と連携しながら司書教諭養成講習を実施し,有資格者の発令の促進と学校図書館機能の充実を図っていくことがなお一層求められています。
幼稚園や保育所においても,乳幼児期に絵本や紙芝居などに親しむ活動の推進が期待されます。(⇒事例集33参照)
また,乳幼児が絵本等に親しむ機会を確保する観点から,安心して図書に触れることができるような時間と場所の確保に努めるとともに,民間ボランティア等と連携して図書の整備を促していくとともに,公共図書館等の協力を得て発達段階に応じた図書の選定にも配慮していくことが必要です。さらに,本との触れ合いの時間を家庭でも持つよう,親や大人を対象とした講習会や情報交換の場を設けることなどが大切です。(⇒事例集35参照)
各学校の段階や実情に合わせて,児童生徒に読書に親しむ態度を育成し,本に親しむきっかけをつくるとともに,読書の時間を確保し,読書習慣を身に付けるような計画的な取組が期待されます。例えば,全校一斉読書や読み聞かせなど(⇒事例集6~25参照)を実施したり,また,各教科の授業の中での調べ学習や総合的な学習の時間(⇒事例集16,20参照),特別活動(※15)での取組など,児童生徒が自発的に読書を行えるような取組が期待されます。(⇒事例集25参照)
さらに,読書への興味・関心をより高めるために,ゲーム的手法を用いた読書へのアニマシオン(※16)(⇒事例集10参照)やオーサー・ビジット(作者の訪問授業)(※17),テーマを決めて様々な本を紹介するブックトーク(※18)(⇒事例集6,7,10,13,17,20,23参照),新聞を教材としたNIE(※19)(⇒事例集21参照)の推進なども一つの取組と言えます。
学校図書館は,児童生徒の自発的・主体的な学習活動を支援し,教育課程の展開に寄与する学習情報センターの機能とともに,児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場として興味・関心を呼び起こし,豊かな心をはぐくむ読書センターとしての機能を有しています。
学校教育においては,児童生徒が自ら考え,主体的に判断し,行動できる能力をはぐくむことが求められており,学校図書館の果たす役割はますます重要になってきています。
また,児童生徒が自主的に読書に親しむため,全校一斉読書をさらに拡大するとともに,学校関係者や保護者などを対象とした研修会の開催や学校における読書活動の事例紹介を行います。
司書教諭等がその役割を十分に発揮できるよう,校内における研修体制の強化に努めることが求められます。
また,学校図書館担当事務職員が配置されている学校においては,司書教諭と学校図書館担当事務職員が連携・協力し,学校全体として児童生徒の読書活動を推進することが求められます。(⇒事例集13参照)
公立図書館等からの団体貸出による図書資料の活用や司書の学校訪問の受入れなど,公立図書館等と連携を深めることが望まれます。(⇒事例集6,7,11,17,23参照)
また,学校の読書活動を地域ぐるみで推進するため,PTAや地域住民に学校の図書館運営に積極的にかかわってもらったり,地域の実情に合わせて地域住民に学校図書館を開放するなど,地域との連携・協力を進めることも期待されます。(⇒事例集11,24参照)
障がいのある子どもが豊かな読書体験ができるよう,障がいの状態に応じた図書資料の選定や環境の整備,視聴覚機器の活用,民間ボランティアによる読書支援等が期待されます。児童生徒が読書に興味を持つようなさわる絵本(※20)や布の絵本(※21),絵人形などをパネル上で動かすパネルシアター(※22)などの充実を図ったり,快適な読書スペースづくりに努めたりすることなどが例として挙げられます。(⇒事例集3参照)
また,視覚障害教育情報ネットワークの活用等により,点字データの相互利用や情報提供の促進が期待されます。
県図書館が展開している,古典・近代文学の複製資料や文化財レプリカの学校への貸出など,県図書館が所蔵する知の集積を活用し,ふるさとみやぎの歴史や文化を,次代を担う人たちに伝えていこうとする「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」事業の積極的活用が望まれます。
乳幼児への読み聞かせなどは,親子の大切なコミュニケーションの場となるほか,感性を磨き,表現力や創造力を高め,言葉を学ぶきっかけともなる大切な働きかけと言われています。そのため,親や大人,保育士,幼稚園教諭を対象にした各種研修会を通じて,乳幼児に対する読み聞かせなどの啓発に努めます。
児童生徒が継続的に読書に親しみ,読書習慣を身に付けるよう,次に掲げる取組を通じて学校における読書活動を推進します。
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