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掲載日:2016年11月30日

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第3章 推進のための具体的方策4/公立図書館等

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第3章 推進のための具体的方策


第3節 公立図書館等における具体的方策

1.現状・課題

公立図書館は地域の読書活動の推進拠点として,すべての住民が読みたい本や必要な情報を豊富な資料の中から入手することによって,新しい知識を獲得したり,読書の楽しみを享受することができる情報施設です。また,住民が自らのニーズに応じた資料や情報を自由に収集し,それを基に課題解決や情報活用を図るなど自己教育に資する生涯学習施設でもあり,公立図書館はもっとも身近で重要な役割を果たしています。

特に,地域の子どもの読書活動を支援する拠点として,県内の公立図書館では,「児童室」や「児童コーナー」を設け児童サービスを行い,児童書の充実や情報提供を行っているほか,中高生を対象としたサービスなどを実施しています。

さらに,「子ども読書の日」(4月23日)や「こどもの読書週間」(4月23日~5月12日)と関連させ,子どもの本の展示会やおはなし会といった各種イベントを開催するなど,地域のボランティアの協力を得ながら,子どもの読書活動を推進するための様々な活動に取り組んでいます。

県民の図書館サービス享受を実現するための拠点として,県図書館では「宮城県図書館情報ネットワークシステム」を構築し,市町立図書館・公民館図書室への資料提供(県図書館所蔵資料の協力貸出)における基盤整備を行うなど,県民の読書環境の向上のため,市町村支援に努めています。生涯学習社会の進展の中で,県図書館は県民の学習を支援する身近な情報源として,さらには地域文化の保護・育成・活用を目的とした「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」事業の展開など,生涯学習社会を支える大きな柱として,その機能の充実に努めています。

また,市町立図書館の中には,学校図書館への団体貸出や職員による出前おはなし会の実施など,学校と連携したり,保健センター等と連携して検診時のおはなし会やブックスタートなどを行っている図書館もあります。公立図書館においては,地域や学校との連携を強化しながらサービスの向上を目指すなど,県民の読書環境を一層充実して,子どもの読書活動を推進します。(⇒事例集27,30,31,33,37参照)

宮城県内の市町村における公立図書館の設置率は,市町村合併の結果58.3%と高くなりましたが,全国平均の72.2%と比べて依然低率です。公立図書館が未設置の町村においては,公民館図書室が読書施設としての役割を果たしていますが,提供できるサービスが限られているため,図書館の設置が望まれます。

2.推進の担い手とその役割

公立図書館は,地域の人々の営みや歴史を収集・記録し保管すると同時に,その知識や情報を維持・継承し,人々の生活や地域社会の発展のため発信・提供する情報拠点としての役割を担っています。また,人々が「心の豊かさ」や「生きがい」を得ようと生涯にわたる自発的な学びを支援する生涯学習施設でもあります。

このような役割を持つ図書館は,子どもの自主的な読書活動を推進する上でも,きわめて重要な役割を担っています。

(1)公立図書館の役割
イ 子どもを読書にみちびくための多彩な活動

子どもが読書に興味や関心を寄せるような様々な企画を実施することが期待されます。例えば,おはなし会やブックトーク,興味あるテーマによる図書リストの作成,季節や時事問題などを採り上げた掲示や本の紹介記事を載せたおたよりの発行,親子を対象とした読書会などが挙げられます。(⇒事例集26,32~39参照)

ロ 情報の収集・提供と相談

図書資料の紹介やイベント,研修会の案内,民間団体やボランティアの活動など子どもの読書に関連する様々な情報を収集し,図書館広報紙やホームページで提供することが期待されます。併せて,子どもや保護者などの相談に応じてアドバイスすることも大切な役割です。(⇒事例集27,38参照)

ハ 児童室や児童コーナーなどの充実

子どもたちが気軽に公立図書館を訪れ,図書を通して楽しく学び,過ごせるよう,児童室や児童コーナー,青少年コーナー(※24)などの魅力ある空間づくりに取り組むことが期待されます。例えば,親しみやすいインテリアや書架の配置,展示の工夫などが挙げられます。

ニ インターネット活用によるサービス機能の充実

県民がインターネットを活用して,図書の貸出予約ができたり,公立図書館から学校図書館への図書の貸出が円滑に行われるよう,図書館のサービス機能を拡充することが期待されます。そのためには,公立図書館におけるインターネットを活用した情報サービスシステムの一層の拡充が期待されます。(⇒事例集27,38参照)

ホ 児童担当の司書の育成・配置

子どもの読書活動を推進するには,それを担う専門的な職員が必要です。公立図書館における児童担当の司書の育成や配置が望まれます。

(2)行政の取組
イ 宮城県の取組
  • (イ)公立図書館は,子どもと本をつなげるための重要な機関であり,身近なところで本と触れ合う環境の整備が必要です。県では,図書館未設置町村に対して,設置に向けた機運の醸成を図ります。また,市町立図書館を通じて,県図書館資料を取り寄せることができることを周知するなど,公立図書館と県図書館との図書資料の相互貸借を一層推進します。
  • (ロ)県図書館に児童担当の司書を配置し,子どもの読書活動を多面的に支援します。
  •  
  • (ハ)県図書館を子どもの読書に関する県内の中核拠点として,おはなし会などの行事,児童書展示会を引き続き実施し,「子ども読書の日」や「こどもの読書週間」の周知・理解に努めます。
  • また,絵本をはじめとする児童書など,新刊の図書資料の紹介や県内の子ども読書活動団体とその活動状況などの情報を提供するとともに,子どもの読書全般に関する相談・援助に努めます。
  • さらに,研究用児童書や子どもの本に関する研究書を収集している「児童資料研究・相談室」の周知に努め,積極的な活用を推進します。
  • (ニ)県図書館や県視覚障害者情報センターにおいて,障がいのある子どもへのサービスの充実に努めます。多様な図書資料の整備充実を引き続き推進するとともに,視覚障がいのある子どもへの音訳サービスや聴覚障がいのある子どもへの字幕付き又は手話付きのビデオの貸出などを行います。
  • (ホ)県図書館や県視覚障害者情報センターにおいて,今後もボランティアの養成と協力の受け入れに努めるとともに,民間団体やボランティアの活動の場の提供に努めます。
  • (へ)県図書館では,公立図書館や公民館図書室との連携・協力の促進に引き続き努めます。また,公立図書館と学校図書館との連携・協力への支援を積極的に行います。
  • (ト)県図書館が展開している,古典・近代文学の複製資料や文化財レプリカの学校への貸出など,県図書館が所蔵する知の集積を活用し,ふるさとみやぎの歴史や文化を,次代を担う人たちに伝えていこうとする「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」事業を引き続き推進します。
  • (チ)県図書館では,国の登録有形文化財(※25)の街頭紙芝居等を所蔵しています。紙芝居は,聞き手と演じ手の心の交流を生み出し,人々を物語の世界に引き込みます。また,県美術館では,国内最大の絵本絵画コレクションを所蔵しています。これらを常設展や企画展で活用することにより,子どもと本の出会いのきっかけづくりを行います。
ロ 市町村に期待される取組
  • (イ)図書館の未設置町村において,今後設置に向けた積極的な対応が期待されます。なお,市町村合併を視野に入れた図書館の適正な配置についても取り組むことが必要です。
  • (ロ)公立図書館において,子どもの読書活動の推進に重要な役割を担う児童担当の司書の配置と研修が求められます。
  • (ハ)公立図書館では,各年齢層のニーズに対応できるよう,乳幼児向けの児童コーナーや中高生を中心とした青少年コーナーの設置を促進するとともに,図書館資料や読書活動の機会に関する情報を随時発信するなど,図書館の情報化に努めることが望まれます。
  • (ニ)公立図書館や公民館図書室に設けている児童室や児童コーナーなど子どもの読書スペースを十分確保することが期待されます。また,学校図書館,公民館,児童館,保健センター等に必要な情報や資料を提供するとともに,これらの施設に対し,児童書の団体貸出を行うための体制づくりが求められます。(⇒事例集26,27,29,31,32,35,38参照)
  • (ホ)公立図書館の司書が,学校を訪問して読書指導をしたり,児童生徒の調べ学習や図書館利用のための支援を行うことが期待されます。(⇒事例集7,11,17,27,29,31,35,38参照)
  • (ヘ)県図書館が実施している「子どもの本展示会」の移動展示会を,公民館図書室においても積極的に開催することが望まれます。
  • (ト)公立図書館において,図書館から遠距離にある地域に居住する子どもへの移動図書館車によるサービスの充実が期待されます。

(※24)青少年コーナーとは,主に13歳から18歳を対象にした図書資料を配置したコーナーを言います。子どもから大人への転換期にある時期の好みや心理に配慮して,展示法を工夫したり,青少年向けの広報物を併せて置いたりする例が多く,ヤングアダルトコーナーとも言われます。
(※25)登録有形文化財とは,文化財保護法に基づき,国・地方公共団体指定以外の有形文化財,有形民俗文化財及び記念物のうち,保存・活用のための措置が特に必要なものを文部科学大臣が文化財登録原簿に登録して保存を図るもの。

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生涯学習課社会教育推進班

仙台市青葉区本町3丁目8番1号 15階

電話番号:022-211-3654

ファックス番号:022-211-3697

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