東日本大震災宮城の震災対応記録

(職員インタビューによる震災の記憶・経験の伝承)

ここから本文です。

災害廃棄物の処理

 発災当初、震災による災害廃棄物の量は、当初最大1820万tと推計された。これは、県内で平時の1年間に排出される一般廃棄物の約23年分に相当する量であった。災害廃棄物の処理は一般廃棄物として市町村が行うことが原則とされているが、市町自体の庁舎が被災する等甚大な被害を受け、行政機能が低下したため、その処理は困難を極めた。また、災害廃棄物の多くは津波により海へも大量に流出した。
 県では地方自治法の事務の委託により、沿岸13市町から災害廃棄物の処理を受託することとなった。しかし、家庭ごみ等の一般廃棄物を自ら処理している市町村と異なり、県の通常業務は産業廃棄物の許認可や指導のみで、災害廃棄物処理の経験が全くなかったため、過去の災害の知見等を参考としながら、手探りで取り組むよりほかはなかった。
 また、県内各地のし尿処理施設が地震や津波等による被害を受けたことに加え、避難所に多数の仮設トイレが設置されたことなどから、発災直後にし尿処理が大きな問題となった。県では、県内外の業界団体の協力を得て、緊急対応に当たった。
 津波により沿岸部で多数の被災自動車が発生したことも今回の震災の特徴であった。県は5月に「被災自動車処理指針」を策定、沿岸部の5市町から約9000台分の処理を受託した。
 災害廃棄物の処理は復旧・復興の大前提であるとの認識のもと、環境分野と土木分野の技術職、事務職が取り組み、当初目標に掲げた発災から3年以内での処理を完了した。

後輩たちへのメッセージ

関連項目

東日本大震災-宮城県の6か月間の災害対応とその検証-

(宮城県総務部危機対策課・平成24年3月)

東日本大震災(続編)-宮城県の発災6か月後から半年間の災害対応とその検証-

(宮城県総務部危機対策課・平成25年3月)

東日本大震災~宮城県環境生活部の活動記録~

(宮城県環境生活部環境生活総務課・平成25年7月)

災害廃棄物処理業務の記録

(宮城県環境生活部震災廃棄物対策課・平成26年7月)

東日本大震災に係る災害廃棄物処理業務総括検討報告書

(宮城県・東日本大震災に係る災害廃棄物処理業務総括検討委員会・平成27年2月)

東日本大震災-宮城県の発災後1年間の災害対応の記録とその検証-

(宮城県総務部危機対策課・平成27年3月)

ご意見・ご感想

記録誌やインタビューをご覧いただいて、ご意見やご感想をお寄せください。

いただいたご意見の一部は当ページで公開させていただく場合がございます。ご了承ください。

投稿フォームへ