東日本大震災宮城の震災対応記録

(職員インタビューによる震災の記憶・経験の伝承)

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放射性物質の除去

 平成23年3月11日に発生した地震と津波により、福島第一原子力発電所は原子炉や燃料プールの冷却に必要な電源と装置の機能が失われた。その後1、3号機の原子炉建屋で水素爆発が発生し、放射性物質が大気中に放出され、その影響は本県にも及んだ。
 県では、放射性物質汚染の被害対策、放射性物質の測定と情報提供、除染、処分の調整等の取組を重点的かつ総合的に行うため、9月12日に、これまでの「原子力安全対策室」を拡充して「原子力安全対策課」に改組し、体制の強化を図った。
 放射線量の低減対策としては、「放射性物質汚染対処特措法」に基づき、平成23年12月、県内8市町(石巻市、白石市、角田市、栗原市、七ヶ宿町、大河原町、丸森町、山元町)が国の汚染状況重点調査地域の指定を受けることとなった。県は指定に先立ち、対象市町の除染の推進を支援するため、「除染支援チーム」を設置した。除染支援チームは、市町の除染実施計画策定への助言、国との連絡調整、住民説明会での技術的説明等の支援を実施した。
 放射性物質による汚染は、大気や土壌だけでなく農畜産物にも広がった。福島県の農場で採取された原乳から暫定規定値を上回る放射性物質が検出されたことなどから、平成23年5月、県内3か所の牧草の放射線量を検査したところ、2か所で国の定めた暫定許容値を超える放射性物質が検出された。県は調査結果を公表するとともに、県内畜産農家に対し牧草利用を自粛するよう働きかけた。平成24年2月、農林水産省から全国都道府県知事に対し、「放射性セシウムを含む飼料の暫定許容値の見直しについて」の通知があり、牛用飼料の暫定許容値が300Bq/㎏から100Bq/㎏に引き下げられた。県はこの通知を受け、3月に再び県内全域(美里町の旧南郷町、石巻市の旧河北町を除く)に牧草の利用自粛を要請し、4月から牧草地の全面除染を開始、平成24年度中に約8割の除染を終えることができた(他の農産物に関する放射能対策については、テーマ「農林水産物の放射能検査と風評被害対策」参照)。

後輩たちへのメッセージ

関連項目

東日本大震災~宮城県環境生活部の活動記録~

(宮城県環境生活部環境生活総務課・平成25年7月)

東日本大震災―宮城県の発災後1年間の災害対応の記録とその検証―

(宮城県総務部危機対策課・平成27年3月)

東日本大震災~復旧・復興に係る宮城県農林水産部の対応記録~第2集(平成24~27年度)

(宮城県農林水産部・平成29年9月)

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