東日本大震災宮城の震災対応記録

(職員インタビューによる震災の記憶・経験の伝承)

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指定廃棄物・8000Bq/㎏以下の廃棄物の処理

 平成23年7月、福島県から出荷された牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された。県では、原発事故発生以降に収集された稲わらの調査を行ったところ、暫定許容値を上回る放射性セシウムが検出されたため、稲わらの給与自粛と肥育牛の出荷自粛の要請を行うこととした。
 平成23年8月に公布された「放射性物質汚染対処特措法」では、8000Bq/㎏を超える国指定の廃棄物は「指定廃棄物」として国が、それ以外の物は「一般廃棄物」として市町村が処理するものとされたものの、国は、平成24年3月に「指定廃棄物の今後の処理の方針について」を示し、指定廃棄物の保管状況がひっ迫している都道府県においては、必要な指定廃棄物の最終処分場等の確保を目指すこととした。
 宮城県内では汚染稲わらが誤って家畜に給与されることがないよう「稲わら一時保管庫」を設置し、保管を支援してきたが、国の方針を受け、平成24年10月に、第1回「宮城県指定廃棄物等処理促進市町村長会議」(以下「市町村長会議」)を開催し、最終処分場を県内1か所に設置することで合意した。その後、国主導でも検討が重ねられ、平成25年11月に最終処分場の選定手法について合意、平成26年1月に環境省から県内3か所の最終処分場候補地が挙げられた。環境省は平成26年10月に現地調査に入ったが、平成27年8月の詳細調査は住民の強い反対に遭い実施できず、平成27年12月には3市町がそろって候補地返上を表明。指定廃棄物処理に関する議論の継続は困難となった。
 国による処理の見通しが立たない中、平成28年3月、県と全市町村は8000Bq/㎏以下の廃棄物の処理を優先することで合意。これを受け、県は同年6月から10月まで処理対象となる廃棄物の量と放射能濃度の調査を実施し、11月に処理方針(案)を提案した。平成29年7月、県と市町村は自圏域内処理で合意、平成30年3月からは仙南、黒川、石巻、大崎の4圏域において試験焼却が実施された。その後、仙南、石巻、大崎圏域での本焼却や、その他の地域での農林地還元により、汚染廃棄物の処理が進められてきたが、震災発生後10年以上を経た令和4年3月時点でも、一部市町では、住民との間で処理に関する十分な合意は得られておらず、最終的な見通しは立っていない。

後輩たちへのメッセージ

関連項目

東日本大震災~宮城県環境生活部の活動記録~

(宮城県環境生活部環境生活総務課・平成25年7月)

東日本大震災―宮城県の発災後1年間の災害対応の記録とその検証―

(宮城県総務部危機対策課・平成27年3月)

東日本大震災~復旧・復興に係る宮城県農林水産部の対応記録~第2集(平成24~27年度)

(宮城県農林水産部・平成29年9月)

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