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猟
平福百穂(1877-1933)
1920年
168.0×91.4cm 紙本着色、軸装
平福百穂は、1877年秋田県角館町の生まれ。父は日本画家・平福穂庵。1893年16歳で上京し、川端玉章の門下生となります。1900年无声会結成に参加し、第11回文展に《豫譲》を出品して特選となる前年には、結城素明、鏑木清方らと金鈴社を結成、西洋画家の写形の確かさを基として、東洋画の伝統を消化した作品を発表します。1932年、東京美術学校教授に就任しました。
《猟》は、アララギ派の歌人としても名を成した百穂の、万葉讃歌とも呼ぶべき作品です。百穂はまず、舒明天皇への献歌「玉きはる内の大野に馬列めて 朝踏ますらむその草深野」などに想を得て、残月が傾き、露が点々と結ぶ清涼な朝の情景を選びます。まだ穂をつけていない青々とした薄が原に、西域風の秀麗な馬を駆って深く分け入り、弓をつがえる大宮人二人。その風俗と形態は、正倉院御物の銀壷の線刻文様からほぼそのままとっています。
制作にあたって、武蔵野図や秋草図の伝統が念頭にあったと思われますが、その絢欄に代えて清爽を、装飾に代えて実感を、巧密に代えて即成を旨としながら、はるか遠い昔への憧憬を形象化した、百穂の代表作の一つです。
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