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令和5年度生涯学習・社会教育機関の事業概況【北部】

1重点事業

文部科学省による社会教育調査で使用している「学習内容別区分コード表」と「教育対象分類」に沿って、重点事業を回答していただきました。

今年度各施設から挙げられた重点事業総数は188事業HYO1で、分野ごとの集計は以下の表のとおりとなりました。

直近3年間のデータを比較してみますと、重点事業総数が増加傾向にあることが分かります。この要因としては、「アフターコロナ」の意識が大きく関わっていて、感染防止対策が緩和されたり、社会全体の意識が活動自粛から活動再開にシフトしたりしてきていることによるものであると推察します。

また、昨年度から大幅に増加した重点事業としては、「レクリエーション・スポーツ」「家庭教育・家庭生活」が挙げられます。これらの事業内容の内訳は以下のようになっています。

HYOU2

「家庭教育・家庭生活」の分野では、料理に関する事業が大幅に増加しています。コロナ禍においては、調理器具の共用や集団での飲食は大きく制限されてきましたが、活動制限が緩和された現在に至っては、最低限のコロナ対策を講じながらも従来のスタイルに近い形で実施されていると伺っています。また、地産地消食材を使ったり、地元住民を講師に招いたり、創意工夫を図りながら魅力ある事業が実施されています。健康に関する事業も増加傾向にあります。こちらの事業も認知症予防、血圧、睡眠等、バラエティに富んだ内容で実施され、地域住民の健康促進に寄与したものとなっています。少子高齢化が進んでいる管内の地域性を踏まえ、健康に関する事業は地域課題を解決するために不可欠な事業であり、今後益々クローズアップされてくるものと推察します。

2学校と連携・協働した取組

学校と連携・協働した取組については、,下右表に示すように9項目に分類され、7施設から「特になし」という回答がありました。

HYOU3特筆すべき点は、直近3年間の合計を比較すると、連携・協働した取組が年々大幅に増加している点で、コロナ禍の閉鎖的状況が次第に改善されてきていることが大きな要因であると言えます。今回の回答で一番多かったのは、社会教育施設からの依頼に対する学校側の事業協力です。

その内訳としては、児童・生徒向け参加者募集チラシの配布が最も多くなっていますが、学校に対して事業参加や作品出品等の依頼を行い、協力を得ている事例も多く見られます。一方で、学校側からの求めに応じて、社会教育施設が授業の講師や支援ボランティアを紹介したり、職員自らが講師または支援者として協力したりしている事例も多く見られます。

学校と連携・協働した取組は、学校教育の充実や事業成果の向上が見込まれ、多くの地域住民が関わることにより地域の活性化が図られます。また、子供たちが地域に関わる機会が創出され、子供たちの健全育成や次代を担う人材育成にもつながるものであると考えます。これらの事例につきましては、今後も研修会や当教育事務所ホームページ等で紹介し、周知を図っていきたいと思います。

3実践上の諸課題

各施設から出された取組上の課題については、合計100個、29項目に及ぶ課題が出されました。課題の数の多さもさることながら、多岐にわたる課題が存在していることに生涯学習・社会教育事業の難しさを感じているところです。

HYOU4左た課題の中から複数回答があったものを集約したものです。最も多かったのは、やはり新型コロナウイルス関連でした。感染防止対策が緩和され、これまで中止や規模・内容変更を強いられてきた事業が再開されてきているとはいえ、依然として参加者の健康・安全確保を最優先した対応が求められている状況にあることには相違ありません。感染防止対策が個人に委ねられてきている中、事業者がどこまで感染防止対策を講じるべきか、判断に苦しむ場面が今後しばらくは続くものと推察します。

コロナ関連以外では、事業参加者の減少、高齢化、固定化が挙げられます。今年度実施した公民館等巡回訪問では、事業対象が地域住民の大勢を占める高齢者に偏らざるを得ないというお話を、訪問した複数の施設から伺いました。また、実際の高齢者対象事業としては、健康増進をねらいとした運動や講座が広く実施されてきていますが、高齢者の利用率が急激に伸びているスマートフォンの講座を新規に実施したというお話も、複数の施設から伺いました。様々な行政サービスもスマートフォンから受けられる時代になり、高齢者を対象としたスマートフォン講座は、「誰一人取り残さない」というSDGsの趣旨にも合致した事業であると言えます。社会情勢や生活様式が目まぐるしく変化する現在において、地域の実態や地域住民のニーズを敏感に感じ取って事業に反映させていくことが、私たち事業従事者に対してこれまで以上に強く求められています。

少子高齢化の波に抗って事業を展開することは、あらゆる面で困難を要するものですが、若年・青年層の事業参加の減少を課題に掲げ、地道に実践を積み重ねている事例も見受けられます。9月に県庁で実施された生涯学習・社会教育関係職員研修会では、若者とどう関わって社会教育事業を展開していくかについて、ワークショップが行われました。その中で、大崎市岩出山地区公民館の門脇果世館長が話題提供を行い、シニアリーダー、子育て世代の母親、岩出山高校と関わった事例を紹介していただきました。事例発表を聞いた参加者からは、「若者が自由に意見を言い合えるような雰囲気づくりに努めることが重要だ。」とか「若者はやらされている感を感じると意欲を失うので、若者のやってみたいことを引き出し応援する姿勢が大切だ。」といった意見が多く出されました。

何の面識もない若者に社会教育事業への参加や地域貢献を呼び掛けても、それは一方的な押し付けと捉えられ、理解・協力を得ることはできません。その前段階として、若者と接する機会を見つけ出し、一期一会の気持ちで相互理解に努め、信頼関係を築いていくことが必要であると思います。この相互理解や信頼関係の構築は、一朝一夕でできるものではありません。人と人とのつながりを大切にして地道に実践を積み重ねていくことこそが、生涯学習・社会教育事業に携わる私たちがとるべき最善の行動であると実感しています。

 

 

 

 

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北部教育事務所教育学事班(生涯学習)

大崎市古川旭四丁目1-1

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