ロメインレタスは半結球タイプのレタスで,一般的な玉レタスと比較して縦長の形状で葉身が厚く,業務用のサラダ材料などとして利用されている。一方,レタス類の中では栽培法に関する情報が少ないのが現状である。
そこで,宮城県内でのロメインレタスの作型,品種,栽培技術について検討し,安定生産が可能な技術体系を確立したので普及技術とする。

2 普及技術

1）作型
宮城県内でのロメインレタス露地栽培の作型を図1に示す。春作の収穫適期は5月末から6月中旬であり,それ以降は外部抽だいが発生し商品性を失う（表1,3,4）。秋作は8月下旬から9月上旬が定植適期であり,それより早いと外部抽だいする。

図1 宮城県におけるロメインレタスの作型(露地栽培)
2）品種選定
収穫時の芯長が短く,収穫時に外葉のねじれや葉先枯れ症状の少ない「アレックスBB」等を用いる（表2）。
3）栽植密度
1a当たり750株（株間30cm,条間25cmの3条千鳥植え）と1a当たり1,000株（株間25cm,条間20cmの4条植え）とした場合,1株当たりの調製後株重は前者のほうが重くなるが,1a 当たり収量は同程度である（表1）。

3 利活用の留意点

1）生育安定化,雑草防除のためにはマルチ栽培が有効である。マルチ色は黒だと定植直後の枯死や収穫期の抽だい促進の問題が生じるため,白黒ダブルマルチが良い。
2）所内の試験栽培は,施肥量N,P2O5,K2O各1.5kg/aで行った結果である。
3）チョウ目害虫やアブラムシ類,腐敗病等が発生することがあるので,防除には作物名「立ちちしゃ（ロメインレタス）」,「非結球レタス」,「野菜類」を対象に登録されている農薬を確認のうえ使用する。
4）ロメインレタスは明確な結球部位がなく,株外観から収穫適期と収穫部位を判断しにくい。
試験栽培では,図2のように外側に反り返った葉（結球外葉）が発生した後を収穫適期とし,それらを除いた株内部を収穫部位とした（図3）。
5）ロメインレタスの春作露地栽培では、栽植密度の違い（750株/aまたは1,000株/a）は花芽分化開始時期に影響せず,「アレックスBB」と他3品種間に花芽分化開始時期に差はないため,花芽分化してから外部抽だいまでの期間が短い春作における収穫適期もほぼ同じであると考えられる（表3,4）。
6）試験結果等を参考に作成したロメインレタスの経済性の試算値を表5に示す。

（問い合わせ先：宮城県農業・園芸総合研究所バイオテクノロジー開発部電話022-383-8131）

4 背景となった主要な試験研究

1）研究課題名及び研究期間
みやぎ発信型の新規園芸品目の定着技術の確立（平成25年度）宮城から提案する新規園芸品目の生産技術の開発（平成26～28年度）
2）参考データ
表1　生育日数と栽植密度が花芽分化,品質に及ぼす影響(2014年春作・アレックスBB・3月3日播種・4月3日定植)

表2　播種日,品種が花芽分化と品質に及ぼす影響(2014年秋作・露地栽培)

図2　収穫時形状

図3　調製後株外観
表3　生育日数と栽植密度が花芽分化,葉数に及ぼす影響(2014年・アレックスBB・3月18日播種・4月17日定植)

表4　花芽分化程度の品種間比較(2014年春作・4月7日播種・5月7日定植)

表5　経済性の試算(ロメインレタス,露地,11月出荷,10a当り）
3）発表論文等
- a関連する普及に移す技術　なし
- bその他
  澤里昭寿（2016）東北農業研究第69号：P.93～94,H28東北農業研究成果情報
4）共同研究機関　なし