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石巻圏域には,約4,200haにわたり松林が広く分布しています。
松林は,海岸や島しょで防風,飛砂防止,魚つきなどの効果を発揮するだけでなく,急傾斜地では土砂の崩壊を防止します。また,特別名勝「松島」を代表とする観光資源にもなっており,私たちの生活と深く関わっています。
特別名勝「松島」の宮戸島(東松島市)
三陸復興国立公園の出島(女川町)
松くい虫被害は正式名称「マツ材線虫病」といい,夏から秋にかけてマツの葉が急速に褐変し枯死する被害です。
宮城県の松くい虫被害は,昭和50年に石巻市大門崎ではじめて確認されました。その後の4年間で被害は石巻圏域全体に広がり,平成8年のピーク時には14,000立方メートルまで被害量が増加しましたが,その後は年々減少傾向にありました。
東日本大震災の影響により薬剤散布等の防除対策が十分に行われなかったことから,平成24年度に一時的に被害量が増加しましたが,その後薬剤散布を再開した効果が現れ,平成27年度には平成になってから初めて被害量が5,000立方メートルを下回りました。
なお,令和3年度の被害量は5,437立方メートル(対前年比120%)となり,総合的な防除対策が引き続き必要な状態となっています。
松くい虫被害は,「マツノマダラカミキリ」に寄生する「マツノザイセンチュウ」がマツの樹体内に入ることで通道障害(水を吸い上げる能力の阻害)を起こし,枯れる仕組みになっています。
マツノマダラカミキリはマツの若い枝の樹皮を食べるので,その際,かみ傷からマツノザイセンチュウがマツの体内に侵入します。また,マツノザイセンチュウにより弱ったマツにマツノマダラカミキリは産卵し,成長すると翌年の6月頃に体内に多数のセンチュウを寄生させた状態で羽化脱出し,被害が拡大します。マツノマダラカミキリはメス一匹あたり約100個の卵を産卵するとも言われてます。
松くい虫被害対策は,「予防」と「駆除」を組み合わせて実施する必要があります。
「予防」では,薬剤の散布や樹幹注入を行い,マツノマダラカミキリの殺虫やマツノザイセンチュウの侵入・増殖を防止し,守るべき松林が枯れないようにします。
一方,「駆除」では,被害を受けて枯れたマツを適切な時期に伐倒し,薬剤処理等で被害木の中にいるマツノマダラカミキリを殺虫することで,被害拡大を防ぎます。
併せて,松くい虫被害を受けて減少してしまった松林の「再生」への取組も重要です。特別名勝「松島」地域など,松林が観光資源となっている地域では,被害跡地に松くい虫被害に抵抗性があるマツ苗木を植栽し,景観の保全・回復を図ることとしています。
被害木の伐倒の様子
ヘリコプターによる薬剤散布(空中散布)の様子
宮城県水産林政部の関連ページは下記のとおりです。
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