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と畜検査において、よくみられる疾病について簡単に紹介します。
Mycoplasma hyopneumoniaeの感染により、肺の辺縁部に小豆色や灰白色の透明感のある境界明瞭な病巣を形成します。死亡率はきわめて低いですが、増体重の低下があり、経済的な損失が大きい疾病です。
Actinobacilus pleuropneumoniaeの感染により肺表面にドーム状に隆起した暗赤色病変や線維素と呼ばれる炎症産物が認められます。急性に発病して一日前後で死に至るものから慢性の経過を示すものまであり、経過によりさまざまな呼吸器症状を示します。
細菌感染によるものがほとんどで、豚では溶血性連鎖球菌や豚丹毒菌などによる全身感染症の一分症としてみられることが多く、心臓の弁膜にカリフラワー状の病巣を形成します。
と畜検査において、敗血症とは、種々の細菌感染により起こる全身性の症状を伴う疾病に対する総称です。解体後検査において、疣贅性心内膜炎等の敗血症を疑う所見が認められた際は精密検査を行い、臓器、リンパ節、枝肉のいずれかの2か所以上から同一の菌種が分離されたものは全部廃棄となります。
豚回虫の虫卵が豚に経口摂取されると、幼虫が小腸内で孵化して腸壁へ侵入し、肝臓に移行します。この幼虫の移行により肝臓に白斑が形成され、肝白斑症やミルクスポットと呼ばれています。その後、幼虫は心臓、肺、気管支を経て口腔へ移行して飲み込まれ、小腸に達して成虫になります。
四肢関節の腫大や関節液の増量が認められます。写真は膝関節の関節炎です。関節腔の内側を覆う滑膜が肥厚し、絨毛状に増生しています。
豚丹毒は豚丹毒菌に起因する豚の細菌性疾患です。敗血症型、蕁麻疹型、心内膜炎型、関節炎型の四つの病型に分けられ、と畜検査では全部廃棄される疾病の上位を占めています。と畜検査において検出される豚丹毒は、関節炎型が大部分を占めており、解体後の枝肉検査において、内腸骨リンパ節の腫脹等により発見される場合がほとんどです。豚丹毒を疑う所見がみられた場合は精密検査を行い、豚丹毒菌を認めたものは全部廃棄となります。
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