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2011年3月,東日本大震災による津波の影響で壊滅的な被害を受けた宮城県沿岸地域の水田において,被災後復旧した水田における斑点米被害を抑制するための雑草管理や斑点米カメムシ類の防除対策を明らかにするため,2012~14年に宮城県名取市の復旧水田で,被災程度の異なる水田における水田雑草と斑点米カメムシ類の発生状況の違いを調査した.調査の結果,被災程度の比較的軽い内陸部における水田雑草の発生状況は震災前と比較して草種に大きな変化は認められなかった.しかし,復旧に時間を要した海岸部に近い地域では,ノビエとコウキヤガラの発生ほ場割合が高くなった.水田内の斑点米カメムシ類の発生状況は,内陸部においては水田内に発生したイヌホタルイが斑点米被害を助長していたが,海岸部に近い地域ではイヌホタルイの有無にかかわらず水田内の斑点米カメムシ類の発生量が多く,斑点米被害が発生していた.この水田周辺にはノビエとコウキヤガラを主としたイネ科・カヤツリグサ科雑草が繁茂した休耕地が点在しており,休耕地内で斑点米カメムシ類が多発生していたことから,この周辺休耕地から斑点米カメムシ類が水田に侵入したことで被害が発生したと推測された.また,水田周辺の土地利用が水田内の斑点米カメムシ類に及ぼす影響を解明するため,水田から半径300mの範囲内の土地利用状況と水田内の斑点米カメムシ類密度および斑点米発生量の関係を解析したところ,水田周辺のイネ科・カヤツリグサ科雑草が発生した休耕地の面積の増加にともない,斑点米被害の発生確率が高まっていた.以上より,被災地域における斑点米被害の対策として,水田内におけるイヌホタルイの除草に加えて,水田周囲のイネ科・カヤツリグサ科雑草が発生した休耕地の除草管理が重要であると考えられた.
休耕地,アカスジカスミカメ,アカヒゲホソミドリカスミカメ,イヌホタルイ,コウキヤガラ,東日本大震災
東日本大震災による津波被災後復旧水田における斑点米カメムシ類の発生状況(PDF:4,918KB)
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