トップページ > 県政・地域情報 > 県政情報・財政 > 知事室 > 知事説明要旨 > 第三百五十一回宮城県議会知事説明要旨

掲載日:2015年2月17日

ここから本文です。

第三百五十一回宮城県議会知事説明要旨

平成27年2月17日

本日ここに第三百五十一回宮城県議会が開会され、平成二十七年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、平成二十七年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

初めに、東日本大震災からの復興についてであります。
あの大震災発生の日から間もなく四年が経過しようとしております。被災された方々にとりまして、この四年という歳月がいかに大変なものであったか、改めてこの意味を真摯に重く受けとめているところであります。大切な人や住まいを失い、つらい思いで日々を過ごしておられる方々や、応急仮設住宅などで今なお不自由な暮らしを余儀なくされている方々が、一日も早く安心して生活を送ることができるよう、市町村と連携しながら、まちづくりや産業再生、雇用確保などあらゆる分野において、力強く復興を推進していくことが求められております。
今年は阪神・淡路大震災の発生から二十年の節目に当たり、昨年も各地で災害に見舞われたことから、全国的に防災意識は高まっております。来月この宮城の地で開催される第三回国連防災世界会議のコンセプトにもあるように、震災の経験と教訓を後世に伝え、次の災害に備えることこそが、未曾有の大災害を経験した私たちの責務であると考えております。災害に強い県土づくりに向けて決意を新たにいたしますとともに、誰もが誇りに思える創造的な復興を必ずや成し遂げるため、今後も県を挙げて全力で取り組む所存でありますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

さて、平成二十七年度は宮城県震災復興計画に掲げた再生期の二年目に入りますが、このところ各地で耳にするようになった「完成」の知らせが大型の事業でも相次ぐこととなり、県民の皆様にも復興への歩みを実感していただける年になるのではないかと考えております。
来月二十一日にはJR石巻線が女川まで完全復旧し、新たな女川駅に併設される温泉施設も営業を開始いたします。これに合わせて女川町では「まちびらき」が宣言され、今後、町の中心部におけるにぎわいの回復に弾みが付いていくものと期待しております。
また、五月三十日には、高城町駅と陸前小野駅の間で運休が続いているJR仙石線も、路線を高台に移して全線開通する予定です。これと同時に、松島町内で東北本線と相互乗り入れする「仙石東北ライン」も新たに運行を始め、仙台・石巻間は震災前より約十分短縮されて一時間ほどで結ばれます。さらに、来年三月には、復興事業で大規模な市街地が整備される石巻市新蛇田南地区に隣接して、「石巻あゆみ野駅」も開業する予定となっており、仙台・石巻両圏域の交流と沿線の活性化が大いに進むものと考えております。
三陸縦貫自動車道では、来月、松島北インターチェンジから鳴瀬奥松島インターチェンジまでの区間が四車線化されます。また、来年三月までには東和・志津川間が暫定二車線で開通するとともに、桃生豊里インターチェンジ以南のすべての区間が四車線化される見込みとなっています。常磐自動車道においても、来月には全線が開通する予定となっております。
このほか、七月には仙台港背後地に仙台うみの杜水族館が開業し、九月には建物延長八百八十メートルと日本でも有数の規模を誇る新たな魚市場施設が石巻漁港で全面稼働するほか、十二月には仙台市営地下鉄東西線も開業するなど、震災による大きな被害を乗り越えて、沿岸部には復興を牽引する核とも言うべき新たな施設が次々と誕生してまいります。

震災直後には大きく落ち込んだ我が県の経済ですが、復興へのたゆまぬ努力が実り、着実に回復している様子が統計指標にも表れてきております。
仙台空港では昨年の利用客が前年を四・三パーセント上回る三百二十万人余りとなり、二年連続で三百万人を超えたほか、アクセス鉄道も六・八パーセント増の約三百三十万人と、開業以来の最高記録を更新いたしました。仙台塩釜港仙台港区では、昨年、国際コンテナ貨物取扱量が過去最高に迫る水準にまで回復し、今後、高砂コンテナターミナルの拡張により、更に伸びていくものと期待されます。
壊滅的な打撃を受けた漁港の水揚額は、昨年、女川が震災前を上回り、石巻は九割以上、気仙沼でも七割以上まで回復いたしました。各漁港の周辺では地盤かさ上げ工事が本格化しており、加工場等の施設も再建が進んできていることから、更に盛り返していくものと期待しているところであります。
昨年末にまとめられた平成二十四年度の本県の経済成長率は、前年度比実質九・七パーセント増と、比較可能な平成十四年度以降で最高の伸びを記録したほか、実質県民総生産は八兆九千億円を超えて過去最大となりました。復興需要にも支えられて、我が県の経済は順調な回復基調にあるものと考えております。

こうした回復ぶりを追い風に、来年度は再生期二年目の年にふさわしく、県民の皆様に「創造的な復興」の成果を目に見える形でお示しできるよう、重点施策の具体化を一層図ってまいる所存であります。
仙台空港の民営化については、昨年十二月で県による参加資格確認手続が終了し、現在、国により応募者の選定手続が進められております。このあと、優先交渉権者が決まり、空港ビルなどの株式が譲渡された上で、来年三月には民営化が実現する見通しとなっております。こうした動きに連動して、航空貨物量の増大や広域観光の推進に向けた調査検討を行うとともに、空港周辺への企業進出に備えた土地利用調査を実施し、民営化後の更なる活性化を図ってまいりたいと考えております。
広域防災拠点整備については、JR貨物との間で用地買収や移転補償などについて詰めの協議を行っているところですが、国の復興予算の活用も認められましたことから、協議が整い次第、宮城野原地区の用地を取得するとともに、仙台貨物ターミナル駅の仙台市岩切地区への移転に向けて調査設計を進め、事業を前進させてまいります。また、先月、各圏域防災拠点として県内八か所を選定したところであり、今後、広域防災拠点や市町村が運営する地域防災拠点との連携のあり方などについて、検討を深めてまいりたいと考えております。
医学部の新設については、東北薬科大学が、来月末を目途として国への認可申請に向けた準備を進めております。これまで開催された教育運営協議会でも様々な意見が出されており、議論の推移を注視しているところでありますが、設置体制が固まれば、これまで御説明してまいりました方針に従い、順次、新設に伴う費用の助成や新たな医学生修学資金制度の創設などを実行し、来年四月に東北の復興に貢献する医学部がスタートできるよう支援してまいります。
放射光施設及び国際リニアコライダーの誘致については、東北六県の産学官が力を合わせて取り組んでいるところですが、来年度は私自らヨーロッパに赴き、研究施設と地域の関わりや経済効果等について調査確認してまいります。その上で、復興や地方創生に繋がる効果的な仕組みを検討しながら、実現に向けて国などへの働き掛けを一層強めてまいりたいと考えております。
利用段階で二酸化炭素を全く排出しない水素エネルギーの普及促進は、来年度から新たに取り組む施策であります。環境に配慮しながら富県宮城の実現を図る我が県として、燃料電池自動車の普及など、水素エネルギーの利用拡大に向けた検討を積極的に進め、「東北における水素社会先駆けの地」を目指してまいりたいと考えております。

次に、震災関連以外についてであります。
先月発表された政府の経済見通しによりますと、今年度の実質経済成長率は消費税増税の影響でマイナス○・五パーセント程度と、リーマン・ショック以来、五年ぶりのマイナス成長となる見込みですが、来年度は企業収益や雇用・賃金が改善する中、緊急経済対策などの効果も受けて、一・五パーセント程度のプラス成長に転じるものと見込まれております。早くからアベノミクスの恩恵を受けてきた大手企業の間では、景気の見通しについて明るさが広がっているようでありますが、これを中小企業や地方経済にも波及させ、一人ひとりが暮らしの中で景気回復を実感できるようにすることが大変重要であると考えております。とりわけ、沿岸の被災地をはじめとした仙台都市圏以外の地域では人口減少が続いており、その対策の強化は地域の活性化を図る上で極めて重要であります。
折しも国は地方創生を掲げ、国を挙げて地方の人口減少や東京一極集中に歯止めをかける方針を打ち出しましたが、その基本原則は、地方が自ら考え、行動し、結果を出すこととされております。
本県では、昨年十一月に私を本部長とする宮城県地方創生推進本部を設置し、地域課題を直視した大胆な政策の形成に向けて、多方面からの率直な御意見を伺うとともに、若手職員の発想豊かなアイディアも拾い上げながら策定作業を進めており、十月までには「創造的な復興」と「宮城の将来ビジョン」の実現にも資する、県としての個性と魅力にあふれた総合戦略を策定したいと考えております。なお、早期の着手によってより高い効果が期待できる施策については、先行して実施に移してまいります。

県民生活を支える道路・橋梁などのインフラを含めた県有施設の適切な維持管理については、これまで議会で何度も議論されてきた重要な課題でありますが、来年度は関係する予算を増額いたしますとともに、公共施設等総合管理計画の策定を進め、中長期的な視点で更新や長寿命化などの手当てを計画的に行っていくことといたしました。また、国が示した全国統一基準による地方公会計にも対応するため、新たに固定資産台帳の整備を進めます。今後、これらを活用して、将来必要となる県有施設の更新や補修を的確に実施するとともに、維持管理に必要なトータルコストの低減に努めてまいりたいと考えております。
大崎市三本木地区に保健医療福祉中核施設の用地として先行取得している土地につきましては、平成十五年度に事業の中止が決定されて以来、新たな利活用策に結びつかないまま現在に至っております。昨年七月、地元大崎市及び地域の関係団体から、パークゴルフ場の早期整備を求める要望を頂きましたことから、この際、今年度中に県で用地を買い戻した上で、パークゴルフ場とする場合の規模や管理のあり方などについて具体的な検討を行っていくことといたしました。地域のニーズを踏まえながら有効な土地活用策を検討してまいる所存でありますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

(当初予算の編成方針)
次に、当初予算の編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
国の平成二十七年度予算案は、経済対策や税制改正と合わせて、経済再生と財政再建の両立を実現する予算として編成されております。その中には、地方創生の推進や消費税増収分を活用した社会保障の充実、公共インフラの老朽化対策などに要する経費が重点的に盛り込まれ、一般会計の総額は九十六兆円を上回る過去最大の規模となりました。
また、東日本大震災復興特別会計には、震災復興特別交付税をはじめ災害復旧事業費や復興交付金など、我が県の復興に欠かすことのできない財源が概ね所要額計上されており、来年度も引き続き復興事業にまい進できるものと評価しているところであります。
平成二十七年度の地方財政対策は、社会保障費の伸びを反映させたほか、地方創生関係費や公共施設の老朽化対策費などが重点的に計上された結果、地方一般財源総額は今年度を二・○パーセント上回り過去最高の規模となりました。その特徴として、消費増税などで税収の増が見込まれる中、地方交付税の減少を小幅に抑えて、赤字地方債である臨時財政対策債の発行額を大幅に減らすなど、財政健全化への配慮が窺えます。この結果、来年度の地方財政運営上の所要額は概ね確保できたものと考えております。

平成二十七年度当初予算案は、昨年十月に策定した「平成二十七年度政策財政運営の基本方針」に基づき、引き続き被災した方々への支援をはじめとした震災からの復興に最優先で取り組むとともに、「政策展開の方向性」に沿った施策や公共施設の適切な維持管理など、課題を解決するための施策に予算を重点配分することとして編成したものであります。
このうち震災対応分については、宮城県震災復興計画を確実に推進するため、国の復興予算を引き続き最大限活用するとともに、復興基金や地域整備推進基金など県独自の財源も活用して、被災した方々への支援や被災地の活性化に繋がる施策を積極的に予算化したところです。また、通常分については、税収の伸びが期待できる一方、社会保障関係費が大きく増えるとともに、公債費も依然高水準に留まることなどから、既存事業の見直しを徹底した上で新たな施策を厳選し重点化するなど、一層のメリハリを効かせております。
この結果、平成二十七年度当初予算案は、一般会計の総額では今年度をやや下回る規模となりましたが、依然として震災前の二倍近くに達しております。
なお、国の集中復興期間は平成二十七年度までとされており、その後の特別な財政措置のあり方について未だ明確な方向性は示されておりませんが、大規模な工事については債務負担行為を設定した上で、工期を複数年度として契約せざるを得ないことから、平成二十八年度以降も従来通りの国の支援が続くとの前提で予算措置することといたしております。今後も他の被災自治体と連携して復興財源の確保に全力を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

平成二十七年度当初予算案における主な施策について、「政策財政運営の基本方針」に掲げた四つの「政策推進の基本方向」に従って御説明申し上げます。

(再生期における迅速な震災復興)
初めに、再生期における迅速な震災復興について、宮城県震災復興計画で重点的に取り組むこととした七つの主要政策に沿って順次御説明申し上げます。

第一に、被災された方々の生活再建と生活環境の確保についてでありますが、一日も早く落ち着いた暮らしを取り戻していただけるよう、災害公営住宅の建設や復興まちづくりの整備に引き続き全力を挙げてまいります。並行して、サポートセンターによる被災者の見守りを継続するとともに、設置から三年以上が経過して所々に傷みも見えてきた応急仮設住宅について、土台や屋根、外壁などを全棟にわたって点検し、必要な修繕を行います。
また、今後、災害公営住宅などへの転居が本格化してまいりますことから、新たな生活に不安を感じることのないよう、きめ細かく相談に対応していくとともに、新たに形成される住民組織やコミュニティ活動につきましても積極的に支援してまいります。
仮設住宅から民間賃貸住宅への転居を希望する方に対しては、新たに設置する相談窓口において物件情報を提供するとともに、転居支援員を配置して、自立再建を図る上で課題を抱えている方への相談等の支援を強化してまいります。
県外に避難している方々に対しては、東京事務所に配置している社会福祉士などの資格を持った支援員を増員するとともに、大阪事務所にも新たに配置して相談体制の一層の充実を図るほか、全国の各ブロックに新たに拠点を設け、帰郷に向けた支援を強化してまいります。

第二に、地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実についてでありますが、津波で全壊した公立志津川病院は十二月、石巻市立病院は来年七月の完成を目指して新築工事が進められているほか、気仙沼市立病院については平成二十九年十一月の完成を目標に移転新築が進められており、引き続きこれらを支援してまいります。
また、復興まちづくりの進捗に合わせて民間の医療施設や福祉施設の本格的な復旧を引き続き支援し、被災地における医療福祉サービスの回復を推進するとともに、ドクターヘリについては、仙台医療センターにおける格納庫の整備に助成するなど、平成二十八年度中の運航開始に向けて準備を進めてまいります。
被災者の健康管理の取組としましては、仮設住宅だけではなく、新たに災害公営住宅の入居者も対象に加えて健康調査を実施するほか、震災後に受診率が大きく減少したがん検診の勧奨をはじめ、増加が懸念されているアルコール関連問題への対応や摂食障害の相談・治療などにも力を入れてまいります。
また、震災以降、人口の流出や少子化が加速していることから、結婚支援や生み育てやすい環境づくりなど、少子化対策に前向きに取り組む市町村を県独自の補助制度で支援してまいります。

第三に、「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築についてでありますが、まず、被災した中小企業に対しては、グループ補助金に加え、県単独の補助金や貸付金などで引き続き施設設備の復旧を支援するとともに、中小企業診断士などの専門家窓口を設けて個別の相談に対応するほか、事業を再開した企業に対しても訪問員が巡回してフォローアップしてまいります。
また、優遇税制をはじめとした被災地の様々な特例制度、県独自の復興基金、発展税などを効果的に活用しながら、引き続き企業誘致と地元中小企業の取引拡大を積極的に推進するとともに、まちづくりの核となる商店街の再生を加速するため、国の補助対象とならない商店街施設の整備計画や基本設計などについても、県単独の補助制度により支援してまいります。
沿岸部の交流人口拡大に向けた取組としましては、モデル的な宿泊施設や観光集客施設の設置を新たに支援するとともに、首都圏のテレビ番組や電車内の広告などで四季折々の魅力やイベント情報などを繰り返し発信してまいります。また、外国人観光客の誘客拡大に向けて、無料公衆無線LANの整備や案内表示の多言語化など受入環境を整えていくほか、イタリアのミラノで五月から十月まで「食」をテーマに開催される国際博覧会に出展し、来場する世界の人々に支援への感謝と復興の現状を発信するとともに、優れた県産食材を多数紹介しながら販路の開拓にも努めてまいります。

第四に、農林水産業の早期復興についてでありますが、まず、引き続き農地や農林水産業施設の復旧を急ぐとともに、国の復興予算を活用して農地の大区画化や漁港の機能強化などを推進し、競争力の強化を図ってまいります。
原発事故による放射能問題への対応としては、草地等の除染を更に進めるほか、汚染稲わら一時保管施設の経年劣化に適切に対処するとともに、出荷制限が続くキノコやタケノコの生産再開に向け、実証試験や生産者への支援を行ってまいります。また、徹底した放射能検査と正確な情報提供により、引き続き県産農林水産物の安全と信頼確保に万全を期してまいります。
風評払しょく及び販路拡大としては、首都圏の営業スタッフを二名に増員し、大阪にも新たに一名配置して飲食店や販売店などへの売込強化を図るとともに、消費者向けの広告やイベントについても規模を拡大いたします。また、首都圏のバイヤー向けにカタログを作成し、商談会や試食会を開催するほか、県内観光地の宿泊施設とタイアップした県産牛のキャンペーンも実施いたします。さらには、台湾、香港及び東南アジアをターゲットに、県産農林水産物の輸出先を開拓するとともに、海外消費者へのPRにも乗り出してまいります。
このほか、操業が本格化する水産加工の現場では、人材確保が難しくなっているため、新たな補助制度を創設して、従業員宿舎の建設や従業員の送迎を支援してまいります。

第五に、公共土木施設の早期復旧等についてでありますが、復旧工事は道路・橋梁では計画を達成しつつあるものの、河川、海岸、港湾などではこれからピークを迎えることとなります。これに加えて、沿岸部では国の復興予算を活用した道路、堤防、港湾施設等の新設、改良工事が本格化してきており、来年度も可能な限りの予算を投入して事業を推進してまいりたいと考えております。
なお、大規模な工事が集中している沿岸部では、生コンクリートなどの建設資材の安定確保が復興の進捗を左右する大きな鍵ともなっていることから、民間需要も含めて今後の需給動向を的確に把握し、適切な対応を図ってまいります。また、事業に伴う輸送量増加に伴い、主要幹線や土砂の採取現場周辺など、内陸部でも道路の損傷が目立ってきておりますので、県独自の復興財源を活用してこれらの維持補修についても適切に手当てしてまいります。
貞山運河など沿岸河川の景観再生に対しては、たくさんの寄附とボランティアの協力を頂いており、将来的には石巻市から岩沼市にわたって植樹を行い復興のシンボルにする計画でありますが、来年度は多賀城市の旧砂押川で桜の植樹を進めてまいりたいと考えております。このほか、仙台東部地区の道路ネットワークについて、現状の問題点や課題を抽出し、あるべき姿を検討することとしております。

第六に、安心して学べる教育環境の確保についてでありますが、まず、気仙沼向洋高等学校は気仙沼市階上地区の内陸部に、農業高等学校は名取市高舘地区にそれぞれ移転することとし、いずれも平成二十九年度末の新校舎完成を目指して造成工事を行います。また、松島自然の家については、東松島市宮戸地区での平成三十一年度全面再開に向けて本館施設の設計を進めますとともに、平成二十八年度に先行して供用開始する野外フィールド施設の整備に着手します。
震災により心に深い傷を受けた児童生徒のケアについては、周囲が少しずつ落ち着きを取り戻してきたこの時期においてこそますます重要になっており、スクールカウンセラーの協力も得ながら、不登校などの問題と合わせて、学校、家庭、関係機関が一体となってきめ細かく対応してまいります。また、仮設校舎や仮設住宅との間の通学手段の確保をはじめ、被災児童生徒への経済的な支援など、就学支援については引き続き万全を期してまいります。
防災教育については、来年四月に新設する多賀城高等学校災害科学科で専門教育を行うための準備を進めますとともに、幼稚園児、中高生向けの副読本を作成して一層の充実を図ってまいります。また、東北歴史博物館インタラクティブシアターにおいて子どもたちが効果的に学ぶことができるよう、防災情報の映像化にも取り組んでまいります。

第七に、防災機能と治安体制の回復についてでありますが、まず、気仙沼市赤岩地区に建設中の気仙沼警察署については、運転免許証の即日交付機能を新たに加え、平成二十八年四月の供用開始を目指して工事を進めてまいります。また、石巻合同庁舎は、石巻市新蛇田南第二地区への移転及び平成三十年度の供用開始に向けて用地取得及び設計を行うとともに、気仙沼合同庁舎についても、気仙沼市赤岩地区における平成三十年度の供用開始に向けて設計を行うこととしております。
復興まちづくりが急ピッチで進む中、女川交番や気仙沼市の南町交番の移転先が相次いで決まり、平成二十八年度中の完成を目指して設計に着手いたしますほか、仙台市荒井地区、石巻市新蛇田地区、女川町中心部、山元町新山下駅・新坂元駅周辺などで一斉に信号機や標識等の整備に着手いたします。
また、震災の記憶の風化防止と復興情報の発信強化に向けて、来年度から本格運用を始める震災アーカイブや県庁舎十八階に設置する復興情報発信コーナーで関連資料を広く公開するほか、震災遺構を活用した伝承のあり方についてフォーラムで検討を深めてまいります。
なお、南三陸町防災対策庁舎については、震災から二十年間は県有施設として維持管理した上で、その後、町において保存の是非を判断してはどうかと私から提案したところであり、町の回答を踏まえて必要な対応を講じてまいります。

(産業経済の安定的な成長)
次に、産業経済の安定的な成長についてであります。
農業政策については、国が今年度から大きな見直しを行い、経営感覚に優れた農業者の育成に力を入れるとともに、主食用米に依存してきた体質から脱却し、農業経営の多角化を図ることとしております。県としてもこうした方針に連動し、平成三十五年度までに県内耕地面積の九割以上を担い手に集積することを目標に、農地中間管理機構や市町村、農協と緊密に連携しながら調整を進めていくほか、平成二十八年度には飼料用米に占める専用品種の作付面積割合を四割に高めるため、専用品種の種もみ増産と栽培実証に取り組んでまいります。
また、林業の分野においても、間伐材の供給拡大や木質バイオマスの利用促進などに取り組むとともに、担い手不足が大きな課題でありますことから、新規就業希望者向けの説明会や技術講習等を充実させてまいります。
池袋駅前に設置して今年で満十年を迎える東京アンテナショップについては、この四月から大規模な改装工事を行い、七月のリニューアルオープン後は、本県の情報発信と県産品の営業販売拠点としての機能を更に強化してまいります。
このほか、海外でビジネス展開する県内企業への支援策として、来年度は東南アジアをターゲットに企業への相談対応を充実するほか、現地でのサポート体制も整備いたします。

(安心して暮らせる宮城)
次に、安心して暮らせる宮城についてであります。
拓桃医療療育センターは、四月に県立こども病院と運営を統合するとともに、来年度後半を予定している新病院棟への移転に向け整備を進めてまいります。また、精神医療センターは、平成三十年度の開院を目指してがんセンター隣接地に移転新築することとしており、用地買収と建物の設計を行ってまいります。さらに、開設後四十年以上が経過し老朽化が著しい船形コロニーについても、建替を視野に今後のあり方を検討してまいります。
このほか、医療、介護、子ども子育て分野では、消費税の増収分を財源に来年度も充実を図ることとしており、地域包括ケアシステムの構築に向けた体制整備、難病や小児慢性特定疾病の助成対象の拡大、低所得者の介護保険料の負担軽減、保育所や認定こども園等の施設型給付、放課後児童クラブの充実などのための経費を盛り込むとともに、児童虐待防止、認知症対策、自死予防対策、生活困窮者自立支援などの新たな施策にも積極的に取り組んでまいります。
警察関係では、(仮称)若林警察署の設計に着手し、地下鉄東西線荒井駅そばに平成三十年度の完成を目指して整備を進めてまいります。また、緊急配備支援システムの設置箇所を増やすとともに、警察ヘリコプター「まつしま」にテレビカメラシステムを搭載し、災害や事件・事故への対応能力を強化いたします。
教育関係では、四月に開校する登米総合産業高等学校で、地域や学科間の連携を図りながら時代の要請に応えた産業教育を進めるほか、教育委員会制度の改正に合わせて教育の振興に関する施策の大綱を決定し、それを踏まえて次期教育振興基本計画の策定に着手してまいります。
また、全国学力・学習状況調査の結果を受け、算数・数学の学力向上対策を更に強化するほか、ICTを活用した授業力の向上と学校運営の情報化も一層推進してまいります。
来年度は北海道・東北ブロックで全国中学校体育大会が開催されるほか、平成二十九年度には南東北三県で全国高等学校総合体育大会、本県で全国高等学校総合文化祭がそれぞれ開催されるなど、今後、全国規模の大会が相次ぐこととなっております。さらには、平成三十二年度に東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、市町村とともに事前合宿などの誘致活動も本格化させていくこととしております。これらいずれの大会も、これまでの支援への感謝を示し復興の姿をアピールする絶好の機会ともなることから、実りある成果が得られるよう、しっかり準備を進めてまいりたいと考えております。
このほか来年度は、志津川自然の家で大規模改修を行うほか、美術館では秋にピカソ展、来年の春にはレオナルド・ダ・ヴィンチ展を開くこととしております。また、私立学校に対しては、引き続き運営費補助や授業料軽減補助などにより、経営の健全化と保護者負担の軽減を支援してまいります。

(美しく安全な県土の形成)
次に、美しく安全な県土の形成についてであります。
このところ火山活動が活発化している蔵王山については、宮城・山形両県及び周辺市町などで構成する火山防災協議会を来月設立し、噴火警戒レベルの内容や避難計画、火山防災マップの作成などについて具体的な検討を行うほか、防災倉庫や注意を喚起する看板を設置するとともに、ヘルメットや防塵マスクなどの防災用品を配備してまいります。また、常時監視火山となっている栗駒山についても、周辺三県の協議会での検討を始めるほか、防災倉庫などを整備いたします。
土砂災害の対策についても、危険箇所の調査を急ぐこととし、災害時要援護者関連施設などの特に重要な箇所については、来年度中に警戒区域の指定を完了したいと考えております。
不特定多数が利用する民間の大規模建築物については、今年度から補助制度を設けて耐震診断を促してまいりましたが、来年度は新たに耐震改修の設計と工事も補助対象に加えることといたします。また、公立私立の学校施設において、天井の落下防止など非構造部材の耐震対策を更に推進してまいります。
環境保全のための取組としては、今年度策定する生物多様性地域戦略の普及啓発を図るため、シンポジウムを開催いたします。また、来年度は伊豆沼・内沼がラムサール条約の登録湿地となって三十年、蕪栗沼が同じく十年を迎えますことから、化女沼を含めた登録三湿地の周遊マップを作成するとともに、案内標識などの環境整備を行ってまいります。

以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、平成二十七年度の当初予算規模は、一般会計で一兆四千二百五十九億三千八百余万円、総計で一兆七千八百四十五億四千九百余万円となります。財源の主なものとしては、県税二千八百四十六億円、地方交付税二千六百億円、国庫支出金三千二百二十五億五千三百余万円、繰入金二千九百九十二億五千八百余万円を計上し、また、臨時財政対策債及び借換債を含め県債二千六百二十三億三千三百余万円を発行することにしております。

次に、予算外議案については、条例議案三十六件、条例外議案五十五件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第十六号議案は、今後二年間にわたり知事等の給料を削減しようとするもの、議第十七号議案及び議第十八号議案は、地域医療介護の総合的な確保推進及び慢性疾病児童等の地域支援に関する事項を審議するため、委員会及び協議会を設置しようとするものであります。また、議第二十一号議案は、警察職員及び学校教職員の定数を改定しようとするもの、議第二十二号議案、議第二十四号議案及び議第二十五号議案は、職員の給与、特殊勤務手当及び退職手当を改定しようとするもの、議第二十三号議案は、非常勤の行政委員の報酬を改定するとともに、新たに教育長の給料を定めようとするもの、議第二十七号議案及び議第五十号議案は、各種手数料を新設及び改定しようとするもの、議第三十号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにするもの、議第三十一号議案は、住民基本台帳ネットワークシステムを利用できる事務を追加しようとするもの、議第三十三号議案は、食品等事業者が講ずべき管理運営基準にHACCP方式を追加しようとするもの、議第三十四号議案は、青少年の携帯電話等による有害情報の閲覧防止を強化しようとするもの、議第四十三号議案及び議第四十四号議案は、障害児及び障害者にサービスを提供する事業者に介護保険制度における複合型サービス事業者を追加しようとするもの、議第四十九号議案は、盗撮及びストーカー行為の規制を強化しようとするものであります。

次に、条例外議案でありますが、議第五十二号議案は、土地改良事業の実施に伴う市町の境界変更について、議第五十三号議案は、宮城県国土利用計画の変更について、議第五十四号議案は、包括外部監査契約の締結について、議第五十五号議案は、県道の路線認定について、議第五十六号議案及び議第五十七号議案は、地方独立行政法人宮城県立病院機構の中期計画及び宮城県立こども病院の中期計画の変更を認可することについて、議第五十八号議案ないし議第七十九号議案は、工事請負契約の締結について、議第八十号議案ないし議第百四号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第百五号議案及び議第百六号議案は、市町村の受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

重要なお知らせ

こちらのページも読まれています

 

information retrieval

このページに知りたい情報がない場合は