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掲載日:2021年9月1日

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第三百八十回宮城県議会知事説明要旨

令和3年9月1日

第三百八十回宮城県議会知事説明要旨

本日ここに第三百八十回宮城県議会が開会され、令和三年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。

初めに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会についてであります。昨年夏の開催予定が史上初めて延期となり、感染防止対策に細心の注意を払いながらの開催となった一連の大会も、パラリンピックの閉会式まで残すところあと四日となりました。それぞれの開会式当日には、航空自衛隊松島基地に拠点を置くブルーインパルスが東京の空を彩りました。個別の競技においては、これまでにない困難な環境下でも自らを信じ、本番に向けて練習を積み重ねてきた選手の躍動する姿に、私も強く心を打たれました。今後の競技日程も滞りなく進み、無事閉会式を迎えられることを心より祈念しております。
今回の大会には、東日本大震災に際して世界各地から寄せられた支援への感謝や、被災地の現在の姿を伝え国内外の皆様に復興についての理解を深めていただく「復興五輪」という大きな目的がありました。本来であれば、世界各地の多くの方々に宮城を訪れていただき、力強い復興を果たしつつある沿岸被災地の現状や、震災の記憶や教訓を今に伝える県内各地の震災遺構の姿を御覧いただくところでありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、被災地での様々な交流活動はもとより、全国的には多くの会場で無観客による競技開催を余儀なくされました。しかし、私としては、被災地の行政を預かる者として、これまでの支援に対する県民の感謝の気持ちを何らかの形で発信することが「復興五輪」の理念に沿うという強い思いのもと、感染防止対策に万全を期すことを前提に、有観客による競技の実施に協力することといたしました。結果として、宮城スタジアムにおいては男女あわせて全十試合のサッカー競技が有観客により開催され、制約の多い中においても「復興五輪」の趣旨を一定程度実現できたものと考えております。円滑な大会運営に御尽力をいただいた関係者の皆様、観客の誘導や震災の語り部活動などに従事された多数のボランティアの皆様、直行直帰に御協力をいただいた観客の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
また、今回の大会では、我が県にゆかりのある選手の活躍も光りました。卓球男子団体では、仙台市出身の張本智和選手がダブルスを含めた六試合全てに勝利をおさめ、日本チームの銅メダル獲得に大きく貢献しました。野球の日本代表「侍ジャパン」には、東北楽天ゴールデンイーグルスから田中将大選手と浅村栄斗選手が参加し、正式競技としては初となる金メダルに輝きました。世界の強豪を相手にチーム一丸となって戦う姿は、県民に大きな感動と希望を与えるものであり、心からお祝いと感謝を申し上げます。
来月には、東日本大震災の発生から十年を節目としたもう一つの大きな催しである「第四十回全国豊かな海づくり大会」が控えており、復興の完遂へと進む我が県の姿や明るい水産業の未来を全国に発信すべく準備を進めてまいります。

次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。七月中旬以降、新規陽性者数に増加の兆しが見られたことから、更なる感染拡大の防止を図るため、七月二十一日から仙台市内の酒類を提供する飲食店等に対して営業時間の短縮要請を行うとともに、先月十二日には県と仙台市による独自の緊急事態宣言を発令し、県民の皆様に対しても県内での外出や移動も含めた注意喚起を行ってまいりました。しかし、その後も連日のように多数の新規陽性者が確認される状況が続いたこともあり、先月二十日からのまん延防止等重点措置の適用に続き、先月二十五日の政府対策本部において、八月二十七日から九月十二日までを対象期間として、本県が緊急事態措置を実施すべき区域とされたところであります。県内全域を対象とした酒類を提供する飲食店等への休業要請やその他の飲食店への営業時間の短縮要請、県民の皆様に対しての日中も含めた不要不急の外出や移動の自粛など、感染拡大の防止に向け様々な場面においてこれまで以上の御協力をお願いすることになりましたが、この状況を早期に転換し医療提供体制の逼迫を回避できるよう、県としても危機感を持って全力で対応してまいりますので、一層の御理解を賜りますようお願いいたします。
なお、感染拡大防止の切り札とも言えるワクチンの接種に関しては、約九十万人の県民が二回目の接種を終え、優先的に進めてきた高齢者に対する接種については、接種率が八割を超えました。東北大学等の協力により運営している大規模接種会場は、七月十九日以降の平日は夜間も接種が可能となるなど体制の強化を図っているところであり、今後とも希望する県民が速やかに接種を受けられるよう、大規模接種会場の運営等を通じた市町村支援に努めてまいります。
また、感染拡大の影響を受ける事業者に対する支援策としては、大きく落ち込んだ観光・宿泊需要の回復を図るため、県内在住者を対象とした宿泊前売券の販売を支援したほか、飲食店への営業時間短縮要請等の影響を受けた関連事業者に対する支援金の申請を受け付けているところです。感染者数の推移をなお見極めている施策もありますが、感染収束後に速やかに事業が実施できるよう準備を進めてまいります。

さて、私はこの十六年間、県民の皆様の幸福を実現するため、確固たる経済基盤を有する県土を築き、活力に満ちた安心して暮らせる宮城県を創りあげることに邁進してまいりました。東日本大震災は、少子高齢化や人口減少など、この日本が避けては通れない社会的課題を顕在化させましたが、そうであればこそ、私は、震災からの復興が新しい地域づくりのモデルとなるよう、「創造的復興」の旗印のもと震災復興計画の実現に力を注いでまいりました。
そして今、私たちは新型コロナウイルス感染症という大きな災禍の中にあります。まずは感染の拡大を食い止めることが最優先ではありますが、感染収束後の我が県の姿に思いを致すとき、震災からの復興の完遂とともに、「新・宮城の将来ビジョン」に定める取組を着実に実行に移していくことこそが、県勢の更なる発展には極めて重要なものであり、私に課せられた大きな使命であると考えております。私といたしましては、県民一人ひとりが安心して暮らせる宮城の実現に向け、この難局を何としても乗り越えるべく、来る知事選挙に出馬し、次の四年間においても引き続き全身全霊を傾けてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

仙台空港は、国が管理する空港として全国で初めての民営化が行われてから、七月で五年となりました。三年連続で過去最高を記録するなど順調に増加を続けてきた旅客数は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり昨年度は大きく落ち込みましたが、地元自治体や住民の皆様の御理解のもと、今年二月には運用時間の二十四時間化を可能とするなど機能強化を図ってきたところであり、国内外の航空会社からも強い関心が示され、交流人口拡大や貨物取扱量の増加につながる新たな動きが拡がりつつあります。このような状況を踏まえ、今回の補正予算案においては、仙台国際空港株式会社による路線誘致の取組と連携し国際貨物便の定着を図るため、新規国際貨物路線の就航に際し貨物の集荷などを支援する経費を計上しております。この取組が契機となり、仙台空港の一層の活性化が図られ、我が県のみならず東北全体に大きな経済効果をもたらすことを期待しております。

少子化対策や子育て支援に関しては、先の定例会でお認めいただいた県有施設への置き型授乳室を、先月二日から県内二施設に設置いたしました。その他の県有施設についても授乳できる個室の確保を進めているほか、今回の補正予算案におきましても、県産材を活用した授乳室を試作するための経費を計上したところであり、今後とも認知度の向上や子育て世帯が利用しやすい環境の整備と機運の醸成に努めてまいります。また、結婚支援に関しては、本日から新たな結婚支援センターがオープンいたしました。十一月にはAIを活用したマッチングシステムの運用を開始することとしており、結婚を希望する県民の新たな出会いの場となるよう、市町村と連携しながら制度の周知に努めてまいります。

東京電力福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の取扱いに関しては、先月二十四日に国から当面の対策が公表されたところです。今後、新型コロナウイルス感染症の状況も見ながら、「処理水の取扱いに関する宮城県連携会議」を開催し、その内容について説明を受けるとともに、国や東京電力に対する必要な申入れを実施してまいります。

県立がんセンターと東北労災病院、仙台赤十字病院との連携・統合については、がんや周産期、救急、災害といった政策医療の様々な課題を念頭に、在るべき連携の姿について検討を重ねております。医療提供体制に対する県民の関心が高まっていることからも、可能な限り早い時期に一定の方向性をお示しできるよう、関係者間の意見のとりまとめに鋭意取り組んでまいります。

最近の経済情勢については、内閣府が先月発表した四月から六月期における国内総生産の四半期速報値は、四期連続で増加した輸出のほか個人消費の伸びもあり、小幅ながら二期ぶりのプラス成長に転じました。また、東北財務局が先月公表した四半期ごとの経済情勢報告は、厳しい状況にあるものの持ち直しつつあるとして、三期ぶりの上方修正となり、先行きについても同様の動きが続くものと見込んでおります。

国において六月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」、いわゆる骨太の方針においては、令和六年度までの地方一般財源総額について、今年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することが明記され、来年度の予算編成についても、その目安に沿った対応を行うとの考え方が示されました。地方一般財源の確保は、持続的な財政運営の根幹を支えるものであることから、これまでも全国知事会等を通じた要望を継続してきたところであり、今回の方針は、地方の主張を踏まえたものと考えております。一方、増大を続ける社会保障関係経費や公共施設の老朽化対策、頻発する自然災害への対応など、行政が取り組むべき課題は一層重みを増しており、安定的な財政運営ときめ細かな行政サービスの提供を両立していくためには、地方における多種多様な財政需要が的確に反映されることが極めて重要であることから、地方一般財源総額の確保・充実が図られるよう、今後とも国に対して強く求めてまいります。
なお、東日本大震災からの復興対策経費については、国の令和四年度予算概算要求の基本方針において、引き続き復興のステージの進展に応じて既存事業の成果等を検証しつつ効率化を進め、被災地の復興のために真に必要な事業に重点化するとされております。我が県としても、復興の完遂に向けて必要な財源がしっかりと確保されるよう予算編成の動向を注視するとともに、心のケアなどの取組にもきめ細かな支援を継続してまいります。
また、骨太の方針とあわせて閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一」においては、新型コロナウイルス感染症が地域経済に大きな影響を与えている一方、地方への移住に対する関心の高まりやテレワークの拡大等の環境の変化に着目し、「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」の三つの視点を掲げ、関連する取組を積極的に推進することとされました。これらの視点は、我が県における取組とも軌を一にするものであり、国に対しては、地方の自主的な取組に対するこれまで以上の支援を強く求めてまいります。

今年度の歳入見通しは、普通交付税や臨時財政対策債は当初予算を若干下回ることとなった一方、新型コロナウイルス感染症による大きな影響を見越して計上した県税収入の減少幅は、これまでのところ当初予算編成時の想定ほどには大きくならないものと見込んでおります。しかし、今年度は、例年にも増して財政調整関係基金の大幅な取崩しを余儀なくされているほか、新型コロナウイルス感染症の推移にはなお不透明な部分も多く、今後ともこれまで以上に慎重な財政運営が必要であると考えております。
このため、今回御審議をお願いいたします補正予算案は、新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費や、二月以降の地震に伴う災害復旧等に要する経費のほか、速やかな対応を必要とする施策について措置することとして編成したものであります。

補正予算案の主な内容ですが、新型コロナウイルス感染症対策としては、ワクチンの大規模接種会場の運営に要する経費や個別接種を行う医療機関への支援に要する経費を計上するほか、これまでの感染状況を踏まえた病床確保計画に基づく医療提供体制の整備に要する経費を追加計上いたします。また、専門職の確保を通じた保健所の体制強化を図るとともに、介護サービスの継続に係る事業所への支援や、介護者が感染した場合に備えた在宅障害者の一時受入体制の整備を図ります。県内経済の立て直しに向けた取組としては、認証飲食店を対象とする消費喚起策のほか、宿泊施設を対象とした感染防止対策への助成や、県民限定の宿泊割引への補助を拡充いたします。
二月以降に発生した地震等の災害に関連する事業としては、社会福祉施設等の災害復旧事業への補助経費を計上するとともに、被災した中小事業者の事業継続を目的とするグループ補助金について、要望状況を踏まえ大幅に増額いたします。また、県南部を中心に四月に発生した凍霜害への対策として、大きな被害を受けた果樹栽培農家に対し営農継続に向けた経費の一部を支援するほか、災害対策資金の融資を受ける際に市町村が行う利子補給に要する経費を計上します。
このほか、先ほど申し上げました新規国際貨物路線の就航に対する支援のほか、県産材を活用した置き型授乳室の試作に要する経費を計上いたします。

以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに五百九十四億四千四百余万円となります。財源としては、国庫支出金四百七十九億二千四百余万円、県税五十七億円、県債四十五億八千余万円などを追加する一方、繰入金三十九億二千七百余万円を減額しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆一千八百九十二億四千五百余万円、総計で一兆六千三百九十二億二千四百余万円となります。

次に、予算外議案については、条例議案六件、条例外議案十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第百七十八号議案は、国が定める基準の改正に伴い、救護施設等の設備及び運営に関する基準について所要の改正を行おうとするもの、議第百七十九号議案は、豚熱発生予防のためのワクチン注射について、手数料を改定しようとするものであります。

次に、条例外議案でありますが、議第百八十二号議案は、東京電力ホールディングス株式会社への損害賠償請求に係る原子力損害賠償紛争解決センターへのあっせんの申立てについて、議第百八十三号議案ないし議第百八十五号議案は、財産の取得について、議第百八十六号議案ないし議第百八十九号議案は、工事請負契約の締結について、議第百九十号議案ないし議第百九十三号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

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宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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