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左の写真は高山植物の女王と呼ばれるコマクサです。見事に花を咲かせていますが,実はこの株は十数年かけてこのような見事な花を咲かせているのです。コマクサは風当たりの強い砂礫地に生育するため,花が咲くようになるのに数年,その後,一年毎に花を一輪づつ増やすと言われています。
したがって,右の株のようになるには,十数年もかかっていることになります。
また,次の写真はチングルマという高山植物です。僅か十センチほどの高さしかありませんが,立派な「木」です。高山帯に生育している植物達は厳しい気象・土壌条件の下で長い年月をかけて生長し,夏山を訪れる私たちにその可憐で美しい姿を見せてくれています。
ところが,登山者の中には一時の美しさを自分のものとするために花を折ったり,株ごと掘り起こして持ち帰る人もいます。例え持ち帰ったとしても高山に適応した彼女たちは慣れない平地では簡単には育ちません。また,高山植物が生育している場所は国定公園特別保護地区又は特別地域に指定されていることがほとんどであり,採取は禁じられています。
さらに,「撮って良いのは写真だけ。残して良いのは足跡だけ。」とも言われますが,高山においてはこれも気を付けたいものです。左の写真は登山道の写真ですが,多くの登山客が利用したため2メートルちかく掘れてしまっています。前段のとおり,厳しい条件の下で生育した高山植物は環境の変化に強いようで弱いものです。写真を撮るだけと言う気持ちで一歩踏み込んだその足下にやっと根付いたばかりの個体が生えているかもしれません。また,「池塘」と呼ばれる高層湿原では,踏みつけによって植物が衰退していきます。
夏山を訪れる方は,「動植物は捕らない」「登山コースをはずれない」「ゴミは持ち帰る」などの基本的なルールを守って登山を楽しむとともに,美しい自然を後世に残していきましょう。
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