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乳房炎に罹患すると乳量および乳質の低下をもたらし酪農家に多大な損失を与えるため、その対策を講じることが急務の課題となっています。
畜産試験場では乳房炎の発症予防あるいは早期治癒へ誘導するには、「プロバイオティクス飼料」を給与して腸管粘膜免疫を刺激し、乳腺粘膜免疫の活性化が誘導できないか研究を行ってきました。「プロバイオティクス飼料」としてアサヒバイオサイクル(株)が販売する枯草菌含有飼料添加物「カルスポリン」(Bacillus subtilis C-3102株を有効成分)を未経産牛へ給与し、乳房炎発症抑制効果について検証しました。
ホルスタイン種未経産牛を試験区12頭及び対照区11頭供試し、試験区では分娩1ヶ月前から「カルスポリン」を6×10⁹個/頭/日給与しました。乳房炎発症状況は試験区で乳房炎発症比率が低く、また発症牛1頭あたりの投薬日数および出荷停止日数も少なかったことから乳房炎の程度も比較的軽いものであったと推測できます(表)。また、分娩後90日間の乳汁中体細胞数を測定しリニアスコアの平均値を比較したところ、対照区と比べ給与区は低い値で推移し、特に分娩後35日から70日間は有意に低い値を示しました(図)。以上のことから、「カルスポリン」は未経産牛に対し乳房炎発症予防効果を有する可能性が示唆されました。
本成果は東北大学とアサヒバイオサイクル(株)との共同研究により得られたものです。
図 分娩後乳汁中体細胞数推移
表 カルスポリン給与による乳房炎発症状況
(酪農肉牛部 乳牛チーム)
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